12月だと言うのに汗が吹き出すほどの作業でした。
基本的にはこれまでと同じく、太枝切り、剪定枝束ね、癒合剤塗布の繰り返しです。
実家の果樹園は丘陵地にあります。
この日は一番北にある果樹園なのですが、少し窪地にあります。ゆえに丘の上の果樹園と比べて吹き抜ける風は少し弱め。
ゆえに作業量が多いとこの時期でも汗が止まりません。
剪定作業は兄一人が担当するのですが、果樹の剪定はまるでパズル。
来年果実をつける枝は残す、再来年の芽になる部分も残す、でも要らない枝は全部バッサリ切る。
基本的にはこれの繰り返しです。
ですが実をつけるためには、実を養う葉をつける枝も残す、というわけで、なかなか難しいンです。
私も川崎市の援農講座で習いましたが、そりゃあ簡単には行きませんって。
私も理想的な樹形は見慣れているから、なんとなくこの枝はいる、あの枝は要らない、というのは分かるンです。
だがしかし、本当に思ったとおりに剪定バサミで切れるか?と問われると、手が震えてできません。
というのも、果樹は1度植え付けたら何十年も稼いでもらわなければならない相棒という存在。
物言わぬ相棒が機嫌よく成長し、おいしい果実を実らせてくれるためのサポートをするのが果樹農家の役目です。
私のようなぽっと出の素人がそう簡単に相棒の機嫌を取れるわけがないンですよねぇ。
それに私が川崎市の援農講座で習ったのは、4本主枝という樹形ですが、いまや2本主枝が主流になりつつあります。
主枝の本数が違えば、樹形が全然違います。
実家の農園は、ジョイント仕立ては全く導入していないから私にはホントに助かります。
このジョイント仕立てになったら、もう私にはさっぱり訳わからない状態ですから。
ジョイント仕立てだと改植の時はどうやって作業するのか、私には無理だわーと感じてしまいますもの。
さてこの日、私が「あーあ、やっちまったなー」と思ったことが1つ。
兄から「癒合剤、厚塗りしすぎじゃあない?」と言われたこと。
先週、癒合剤が濃くなってきて扱いづらさから、ちょっと刷毛に水を付けて薄め気味に使ったら兄に注意されました。
「薬効が無くなるから水を入れるな」って。
それなら仕方ない、濃いめのまま塗るかー、と。
数年前から丘の上の果樹園は、夏の猛暑で木が傷んでしまいがちで、枝の枯れ込みが多くなってきました。
その部分にも広範囲で癒合剤塗布をせねばならず、これがまた癒合剤の消費が増えます。
次回からはもう少し刷毛の使い方とか工夫していくしかないなぁ。
来春収穫予定のスナップエンドウが芽吹いていました。
今回は私も種まきを手伝いました。
さて。
この日は入院中の父と面会しました。
兄、祖母、私の3人で10分間だけ。
意識はあるものの終始眠そうな表情でした。
手のひらがちょっと冷たいけれど、発熱中のようです。
握った手がフワッとした感触で、もしかしたら手がむくんでいるのかな、と。
寝たきりの高齢者の手がむくんできたら、そう長くないよなぁ…。
19年前に亡くなった祖父の時も同じように手がむくんでいたものねぇ。
相変わらず病室の天井にある照明や火災報知器が気になるみたいで「アレは何だ?」と尋ねてきます。
私が「あれは火災報知器とかライトよ、お父さんの上に落ちてくることはないから安心してね」と言うしかありません。
面会時間10分であっても、父がその10分間をずっと起きていることは難しくなってきたようです。
9月まで入院していた大学病院にいたときも、そういう日があったので、そういうモノだ、と割り切るようにはしています。
ただ、大学病院の時はCVポートを設置して中心静脈栄養に切り替えて延命措置ができました。
いまは次手がありません。
いや、少しはあるみたいですが、母と兄は選択しないそうです。
元々延命措置には反対の私は母と兄の気が済めばいいと諦念しています。
延命措置は本当に本人のためになっているのか、という疑問を持つ私。
こういう自問自答をしているのは私だけじゃあないンだよねぇ、と思うしかありません。
父にとっていいこと…それは何なのかと疑問に思ってしまう日々です。
次回も楽しくお手伝いしたいです。