一年に何度もは活躍しないのだろうけど、今年は
赤い塗装のはげ方を見ただけで、そうとう活躍したんだなあと思う。
滅多にない体験をすると皆何となく興奮しているのでそれを下げよう。
この矢印の先を数秒凝視。そして落ち着いて安全運転。
なかなか魔法「Qure!」が登場しないですね。
「Qure!」15
テト吉はネズミの探索をしている様子はほとんどなく
、
意味もなくあちこちに姿を現し、入りたい部屋の前でドアに
向かって誰かが来るのを待つ。そして頃合いを見計らって
顔だけ振り向き「ほひ!」と一声鳴けば。誰でもドアを開けてくれるのだ。
基本的に船の居室はドアが開きっぱなしで簡単なカーテンが
してあるだけだ。ドアが閉まっていると言えば女子の部屋と、
船長や機関長の部屋に限られるが、つまりテト吉は船の中の
どんなところにでも自由に出入りできる。これはほかの誰にも出来ないことだ。
「テト吉、おまえ、今日はどこにいたんだ?」
これは生徒からテト吉が聞かれる一番多い質問で、
言葉の分からないテト吉も同じ事ばかり言われていることに
気づいているように見えるときもある。誰かが偶然自分の部屋の
ドアをテト吉のために開けてやっている船長の姿を見たそうだ。
これだって、強力な魔法としか思えない。
テト吉は、いろいろな場所に寝ているところを目撃され、
乗組員全員がテト吉をあそこで見たと目撃情報を挨拶代わりにしている。
「テト吉!おはよう」
「テト吉、夕べはどこの部屋で寝たの?」
「やあ、テト吉、なにか食べたか?」
どうということもない、地味で小さな猫なのだが、このいそうろう猫が
船長よりも強い存在感を放っているとは驚くばかりだ。