地面の目印 -エスワン-

さまざま、気の向いたとき
数学関係は、今後 https://fifthtaxi.hatenadiary.jp/ へ

メモ2

2018-01-08 15:02:11 | 数学

 タクシー数(その8)、(その9)で実2次体の整数の5乗数の和で2通りに表される例を多数見た。

そのためには、

 

を満たす解(k,δ,b)のうちδ≠0かつ、t,t’>0となる解を求めればよかった。ここで

 

である。この時、t,t'が有理数の平方であれば、整数の5乗数の和で2通りに表される例が求められるこ

とになる。  とおけば  である。これを最初の式に代入すると、

 

これを展開して整理すると、

  

したがって、この式の解で(u,k,δ)でδ≠0なる解を求めればよい。

δ=0となる解としては、以下がある。

  jは有理数

 

 

  として元の方程式に代入しjとδの方程式としδで割ると, 

 

これを満たす解があれば、整数の5乗数の和で2通りに表される例が求められるということになるかな。


タクシー数 その9

2017-12-23 14:09:33 | 数学

タクシー数 その8 で、実2次体の整数の5乗数の和で2とおりに表される例を示した。ここでは、そのような例をたくさん見つける方法を検討する。

 

タクシー数 その8 での議論で

 …(A)

 の有理数解 k, δ, b について

 

とするとき、

 

である。δ≠0かつ であれば、これらが相違なる数であることがわかる。

したがって、この仮定の下でt, t'>0となる解k, δ, bを求めればよい。

なお、 のとき、 である。

 

(A) 式の左辺は

 

であるので、 とおく時

 …(B)

の有理数解y>0,k, δについてy-f(k,δ)>0であればt>0となる。

同様に、y-f(k,-δ)>0であればt'>0となる。

 

よって、f(k,δ)<0かつf(k,-δ)<0となる(B) の解を見つければ、実2次体の5乗数の和であらわされる数が求まる(これは十分条件であって必要条件ではない)。

なお、の条件は、となる。

 

f(k,δ)<0かつf(k,-δ)<0となる範囲は下図の青色の部分である。

 

よって、(B) の解で、この範囲に入る(k,δ)を見つければ、実2次体の整数の5乗和で2通りに表わせる例が見つかる。

タクシー数 その8によれば、mを有理数として

 

であれば、(B) は(δ,y)に関する楕円曲線となり、有理点を探すことが容易になる。

-0.72<k<0となるmはおおよそ1<m<5もしくは-1<m<-0.2である。

ここで、mと-1/mに対するkの値は同一であることを考えれば、1<m<5の場合のみを考えればよい。

そこで、いくつかの1≦m<5について計算してみた。その結果が下表である。

* :(B) で定まる(δ,y)の4次楕円曲線をタクシー数その8の方法でWeierstrass標準形に変換したときにCoCalcで求めた無限位数の生成元の数

*2:*で説明したWeierstrass標準形の有理点群の無限位数の生成元

*3:左欄の生成元を1~7倍したときに、その数から元の4次楕円曲線の有理点(δ,y)を求め、t,t'のどちらかが正とならない場合を×、両方とも正であるが、f(k,δ)またはf(k,-δ)の双方は負ではない場合を●、双方とも負である場合○とし、左から右に結果を並べた。なお、7倍までで○が出ない場合は、より多く試したケースもある。

*4:この欄の値は近似値。kが水色の範囲に入るかどうか判断しやすくするために表示した。

 

このように幾つか試したケースでは、上図の水色の範囲に入るkの場合は必ず〇となる、つまりf(k,δ)<0かつf(k,-δ)<0となる有理数解が存在する。また、そうならなくとも、実2次体の整数の5乗和で2通りであらわせる、つまりとなる有理数解が数多く存在する。

 

一例として、m=4, k=-84/325のとき、有理点(70176/8125,5457408/528125)を選ぶと、上表で最初が〇である。この有理点より、δ=28/143が求まる。

これからs,s',t,t’を求め通分すると、

 

が得られる。

 

上記水色の範囲の有理数kを指定すれば、水色の範囲に入る(k,δ)が存在するか、つまり有理点を何倍かすればδの絶対値は十分小さくなるのだろうか。もし、そうであれば、実2次体整数の5乗和で2通りに表せる例が無限に存在しそうである。

 


メモ 1

2017-10-14 19:49:31 | 数学

 タクシー数(その4)で

 

となることをみた。これとタクシー数(8)でみたこととの関係はどうなっているのだろうか。

 

 タクシー数(8)でみたように

 

であるので、

 

より、

 

 同様に

 

より

 

よって、

つまり、タスク―数(8)でtまたはt’が非正になるとして除外したケースに相当する。


タクシー数 その8

2017-09-18 12:37:25 | 数学

タクシー数 その6と7で行った6乗数の和であらわされる2次体の整数を10乗数の場合で行ってみる。その意図は5乗数の和で2通りに表されるケースの探索である。

 

よって、α=a  β=√m とおくと

 

したがって、

     (1)

とおくと

 

(1)でx+y=s, xy=t とおくと

 

この右辺をとおく時なる整数の組を求める。

この時、 となることに注意する。

したがって、かつt及びt'が正となる相違なる整数の組を見つければ、異なる実2次体の整数の5乗和として表される数が見つかることになる(タクシー数その4で2次体の整数の5乗和として表わされる例を示したが、一方は複素数であった)。

 さらにt, t'が平方数であれば異なる整数の5乗数の和としてあらわされる数が見つかることとなる。

 

今、s=s'とするとよりt=t'またはとなる。後者の場合、tもしくはt'は非正となる。したがって、以降s≠s'とする。この時、有理数a,bを用いて、

の形であらわせるとしてよい。すると

 

を整理すると

 

両辺を で割り整理すると

 

ここで上式がsとs'の対称式であることに注意し、とおき整理すると

 

これをβの2次方程式とみれば、有理数解をもつことから判別式は有理数γの2乗である。よって、

 … (A)

(A)の解(α,γ)を用いると

                   ………… (B)

ここでα=ka とおくと、(A)式は

 ………… (C)

両辺をで割り、をそれぞれと考えれば、a=1としてよい。

この時、(B)式は

 

s,s'はの解であるので、は有理数δの2乗となる。すなわち、

 

このγを(C)式に代入すると、a=1に注意すれば、

 

これを整理して

左辺の中括弧内をb'とすれば、δを定数と考えkに関する4次曲線(有理点があれば、4次楕円曲線)ともみなせるし、kを定数と考えればδに関する4次曲線である。

 δについては3次及び1次の項がないので、以後、kを定数と考え、δに関する4次曲線として考えることとする。

 この時、定数項が有理数の平方であれば、δ=0となる有理点を有する。定数項は

であるのでとなるケースを求めると有理数mにより、 とあらわされる。

 

ここで、4次楕円曲線の記事で述べた方法により、4次楕円曲線を3次のWeierstrass標準形に変換し、CoCalc (SageMathCloud) http://www.sagemath.org/ を用いて、有理点を探した。

m=2のとき、k=-132/221,δ=-100/221,b=13752/48841 なる解があり、

  s=-116/221, t=1572/48841, s’= -16/221, t’=616/2873 となる。これより、

 

分母を払い共通因子で割り、符号を調整すると

 

を得る。

 t及びt’が平方数となる例は、まだまだ見つからない。


4次楕円曲線

2017-07-13 18:51:06 | 数学

 楕円曲線といえばWeierstrassの標準形の

   

もしくは

  

の形で通常扱われるが、4次の楕円曲線もあるようだ。

 

 タクシー数(その7)で4次の楕円曲線

  

が出てきたので、3次と4次の楕円曲線はどのような関係にあるのか少し調べてみた。

 

 結論から言うと、有理点を有する4次楕円曲線は、双有理変換でWeierstrass標準形に変換できる。

例えば、インターネットで見られる”Elliptic Curve Handbook, Ian Connell, February,1999”

のP105に出ている。これを追ってみると、

 有理点(μ, ν)=(p,q)を持つ4次楕円曲線はμをμ+pに置き換えて

  

としてよい。このとき、Weierstrass標準形への変換は、

  

ここで、 

とするとき、、Weierstrass標準形を満たす。

逆変換は

  

で与えられる。

 このとき、  は,   に変換される。

これをタクシー数(その7)で出てきた4次楕円曲線に適用すると以下のとおりである。

 

ひとつずつ追ってみると

 

➀ 

もともとの4次楕円曲線は有理点(1,36)を持つので、x座標が0となるようにした。

② 

上記のWeierstrass標準形への変換

 に注意すればよい。

③  

xの2乗の係数が0となるWeierstrassの標準形への変換

 

である。

の変換で、有理点(1,36)→無限遠点 、(-35,29052)→(2920,145376)となる。

Weierstrassの標準形の楕円曲線の場合は、オープンソースの数式処理システムsageにより、

簡単に有理点が求められる。Sageの処理結果によると、3次曲線の有理点のなする群は

ZxZxZ/2Z であり、P1,P2をZxZの、TをZ/2Zの生成元とすると

 P1=(-308, 9568), P2=(1720,52624), T=(-216,0) 

である。Sageで絶対値の小さなl,m,nについて、3次曲線の有理点を求め、上の変換式を用いて

4次曲線の有理点に変換し、そこからタクシー数(その7)の方法で6乗数と3乗数の和で2通りに

表せる数を求めてみた。その結果は下表のとおりである。

 

すべて6乗数と3乗数がすべて自然数の組み合わせは3つのみであった(黄色で網掛け)。

なかなか、そのような組み合わせを作るのは難しいかもしれない。なお、これらの

数値の計算には、CoCalc (SageMathCloud) http://www.sagemath.org/ を用いた。