地面の目印 -エスワン-

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タクシー数 その7

2017-05-21 17:48:44 | 数学

 

 

タクシー数(その7)

 

 タクシー数(その6) の続きです。前回の結論は、2通りに2次体整数の6乗数の和としてあらわされる数を求めるには、

 

とおくとき、①から③が成り立てば十分であった(ただし、これは必要条件ではない)。

①  が等しくなる整数の組(s,t)を求める。

今、tがsの2次式(sの2次の項の係数は1)であらわされると想定する。

 

に対しては、 とおくとき、t(26)=121, t(38)=1 となるb,cを求めると

 となる。つまり、 である。

そこで、tをさらに限定して(ここでkは整数)で表わせるとして なる組を求める。

 

であるので、 を整理すると

 

左辺をs-s’で割り、sの2次式として整理すると

 

この2次方程式が整数解を持たなければならないので判別式が自然数(D)の平方となる。つまり

よってとおくと

  さらに とおくと

である。そこで、こうなる整数の組が13で割り切れるものを求めと、

 

かつ 

が13で割り切れ、かつ 偶奇が一致する    (*)

整数の組(m,n)となる (最後の条件はkが整数であることから)。

(*)は、m≡5nまたは7n (mod13) かつ m≡n(mod2)となる。

これは、m≡5nまたは7n (mod26) と同値である。

したがって、m=5n+26l または 7n+26l  である。

これら2つのケースに分けて、m、k, s', s,tを求めると以下のとおり。

 

②  2次方程式を解いて、(s,t) から (x,y) を求める。

なるx,yは、及びの解として求められる。すなわち

及び

 

③ x,yが2次体整数の平方であらわされるかどうか確かめる。

一般に、整数ではない2次体の整数wについて、となるためには

となることが必要十分。これを上記x,yに適用すると

が平方数でなければ

となるU,Vが存在することが必要十分。

は2次方程式の解であるので

これをm≡5n(mod26) と m≡7n(mod26)の場合に分けてn,lで表示すると次表のとおりである。

次にUが自然数になる条件を求める。 

のとき

A.が自然数の平方になる場合を求める。

 として、の有理数解x,yを求めればよい。変形すると

 さらに変形すると

とおくと、これはの整数解を求めることに帰着する。

この整数解(の一部)は、M,Nを整数として符号を除き、となるので

  よって、

または

 を得る。

 

 とおくと または  である。

 

ここで、または が自然数の平方となる場合を求める。

今、が自然数の平方とすると、

より

が有理数の平方となる場合を求めればよい。

 の場合を考えると、これは

が有理数の平方、つまり楕円曲線

 

の有理点のを求めることに帰着する。このペアを整数とし絶対値が小さい場合を調べると、

はこの楕円曲線上の有理点(整数点)である。

のとき、  したがって、としてよい。

この時、

 

よって、

また、

よって、

以上より、 を得る。

また、のとき、 したがって、としてよい。上と同様の計算で、 を得る。

 

上記楕円曲線が、上の2点以外の有理点を持てば、それに応じて、6乗数の和(片方は√がつく)で2通りに表される数が得られる。

 

長くなったので、が平方となる場合や

B. が自然数の平方になる場合は、別の機会とする。

 

結局、

という3乗数の和で二通り表わされるもののうち、3乗数が6乗数でもあるペアを求めていたことになる。

 


タクシー数 その6

2017-04-09 15:28:59 | 数学

 前回に引き続き2次体の整数を用いてn乗数の和で2通りに表される自然数の例を考える。今回はn=6の場合。

 

 本来のタクシー数は、2通りの立方数の和としてあらわされる自然数のことであった。この時、立方数の一方が6乗数であれば、その数は2通りの2次体整数の6乗数の和としてあらわされる。例えば、

 

の場合、1の3乗と9の3乗は6乗数のため

 

と2次体の整数の6乗の和として表わされる。

 以下、2次体の整数の6乗数の和として表わされる場合をもう少し一般的な形で考えてみる。

 

よって α=a β=√m とおくと

 

したがって、

   ……………… (1) 

とおくと

 ……………… (2) 

(1) でx+y=s, xy=t とおくと

 

この右辺をとおくと

 のときx,yは、 の解である。これを解くと

 のときx,yは、 の解である。これを解くと

 

 よって、(2)より

 

両辺を2の6乗で割れば

 

 したがって、2次体整数の6乗数の和として、2通りに表せる組を見つけるには、以下の手順で行えばよい。

 

① が等しくなる組(s,t)を求める。

② 2次方程式を解いて、(s,t) から (x,y) を求める。

③ x,yが2次体整数の平方であらわされるかどうか確かめる。

④ ③が成り立てば(2)より6乗数の和として2とおりに表せる。

 


タクシー数(その5)

2017-02-04 18:04:35 | 数学

 だんだん、本来のタクシー数からは離れて行くが、その4に引き続き、2次体の整数を用いてn乗数の和で2通りに表される例を考えてみる。

 

  先ず、その4で対象としたの形の数の計算を行ってみる。最初は簡単なについて、nの偶奇に応じて計算を行う。

 

 次にについて、同じくnの偶奇に応じて計算を行う。

 

 となる。

簡単とするため b=1かつ奇数乗の場合を考えると

 

とおき、これをa,x,mの関数F(a,x,n)と考えると

 

今、なる整数A,M,M’が存在すれば

 

となり、2通りに2次体の整数により(2n+1)乗数の和としてあらわされる。

 

小さなnについてを求めると

 

である。簡単な計算で

 

したがって、

 

より

 

また、

 

したがって、

 

より

 

すべての奇数乗について、このような解があるのだろうか。


タクシー数(その4)

2017-01-08 19:57:11 | 数学

 これまで3乗数(立方数)の和として2通りや3通りにあらわされる自然数を考えてきた。これを5乗数やそれ以上のn乗数(n>5)とする場合については、どうであろうか。

 

 一番簡単そうな5乗数の和として2通りに表わされる自然数について考える。

 ↓のwebサイトによると、1.02×10^26以下の自然数ではダメなようである。

 http://mathworld.wolfram.com/DiophantineEquation5thPowers.html

 

 これではちょっとやそっとの検討では結果が得られそうもないので、方針転換して、2次体の整数の5乗の和まで許したらどうなるか考えてみる。1の5乗根(≠1)の一つをζ5とするとき、Q(ζ5)はQの4次アーベル拡大で部分体として2次体Q(√5)を含むので、この2次体の整数Z[ω](ここでω=(-1+√5)/2)でこのような例がないか先ず考えてみたが、よくわからない。そこで、2次体の整数であれば何でもよいこととした。以下、整数とは通常の整数、つまりZの元であるとする。

 

 今、ωm=(-1+√m)/2 (m:通常の整数)とする。 とすれば 

 はm≡1(mod4)のとき整数となるのでこの形で検討を進める。

 

これをmについて整理して

 

を得る。これをmの関数とみてf(m)と置けば、

 であるので

 

b=1 とすれば

 

 を得る。

m=1 とすれば、  なので

 

a=2とすれば、-1-2*(2*2-1)^2=-19 に注意して

 

を得る。

m=25とすれば、 なので

 

a=5とすれば -25-2*(2*5-1)^2=-187なので

 

 となる。結局、差が奇数の自然数の5乗和はある複素2次整数の5乗和としてあらわせることになり、つまらない結果となってしまった。


タクシー数(その3)

2016-12-25 09:21:52 | 数学

 タクシー数(その23通りの立方数の和としてあらわされる自然数を求めた。結果としてあまりに巨大な数しか出てこないので、もう少しうまくできないか考えてみる。

 

 

 タクシー数(その2)で記したように

 

 

とおくと

 

この時、 であれば、ともに正数である。

 したがって、

ただし、

となる自然数Mがあれば、

 

となり、3通りの立方数の和として表わされる自然数が得られる。

 

 そこで、100万以下の自然数で2通りに立方数の和としてあらわされる数43個のうち、立方数の差(ただし)としてもあらわされる数があるかどうか調べた。

ちなみに、http://oeis.org/A001235/b001235.txt に10,000番までのこのような数のリストがある。この表から調べた結果、以下の数のみが該当する。

 

 

 したがって、以下4,104の場合のみ考える。

この時、なので

  

 であり、これらの最大公約数でこれらを割ると

 

を得る。これより

 

がわかる。少しまともな3通りに立方数の和としてあらわされる数が得られた。