今年は、9月になっても暑く、雨も多く、雑草は例年になくいつまでも青く、草刈りの回数が増える、そんな今年ですが、先週あたりから急に秋らしさを通り越して、冬近しのこの頃です。
水の色が悪く、アオコが長く発生している余呉湖にチャレンジしました。長年通い慣れている余呉湖ですが、この湖の自然の変化には見る者を惹きつけるものがあります。特に釣り人としての感覚でもそのことは言えます。4、5年前には藻が異常繁殖して、特に南側の深場に関して、岸から20mほどまで、ぎっしりと藻が繁茂していました。もちろんその前までは全く藻がなく、急に1、2年で異常繁殖した時期でした。それが、ここ1、2年繁茂していた藻が全くなくなり、今は固定にその枯れた藻が堆積している状況です。藻が繁茂したり、それが消滅したりするメカニズムは推測の域を出ない分析しかできない状況で、自然の営みの不思議さを感じさせてくれます。
鯉に関しても、このような自然環境の中で、どう対応しているのかは、我々にはつかみどころがありませんが、何かしらの変化をしていると思われます。3、4年前から鯉の稚魚を放流していて、その鯉が次第に成長してきて60cmを超える大きさまでになってきています。その結果、5年以上前までは、食ってくる鯉は平均90cmを超える大型が主体でしたが、最近は50cm前後の鯉が食ってくることが多くなりました。それに伴うように、大型の釣果が少なくなってきて、10年来の鯉釣り師も、次第に足が遠のくようになってきて、最近は鯉釣りの人も少なくなって来て、そのメンバーも様変わりしている感じです。釣果を期待して余呉湖に来ても、なかなか喰ってこないので、喰ってきても小型なので、だんだんと釣り人も足が遠のくのは、仕方ないですね。
鯉釣りの楽しみ方も人それぞれで、私も長く、気がつけば40年ほど本格的に野ゴイ釣りを続けていますが、時代とともに、そして自分の年齢とともに、あるいはその時々の流行もあって、鯉釣りのスタイルも変化してきています。長く続けている人もいれば、ある時は鯉釣りにどっぷりとはまっていた人でも、いつしか姿を見せなくなり、時間の経過を自然の変化とともに、鯉釣り師の変化も感じる時があります。それにしても、自分は長く続けているのかなと思いながら、飽きないこの釣りの魅力は何かを考えることもあります。
長く続けられる人の特徴の一つは、長く坊主(釣果がなくても)であっても、続けられるタイプの人です。その裏返しで、常に釣果を求めて、釣れたところがあれば、あるいは釣れた情報を頼りにするタイプの人。そして次第に自分の目と足でポイントを探すことなく、人の情報だけが頼りに釣り場に行くようになるタイプは、次第に結果として釣果が少なくなり、興味を失って、鯉釣りから遠ざかっていく人が多いようです。
確かに、釣りは釣果次第ではありますが、釣れるまでいろいろ工夫して、釣れなくてもいろいろさらに工夫を積み重ねて、その結果として、釣れた時の喜びを自分で感じられる、それがこの釣りの醍醐味でもあります。昔から1日一寸と言われている鯉釣りは、いかに待つか、それはいかに坊主に耐えるかの釣りとも言えます。坊主を楽しめる、糧にできる人が長くこの鯉釣りの醍醐味を感じられるのではないでしょうか。
10月の余呉湖を水面を見つめながら、そんな想いが脳裏を過り、余呉湖の自然の変化と同じくらいに、余呉湖の鯉釣り師のメンバーも変わってきたことを実感しています。とは言え、10年以上もこの余呉湖に通っている鯉釣り師もいるのは事実です。そう釣り方も、この湖の自然の変化と同じように常に変化に対応することで、新鮮さを保てるからこそ、続けられるのです。
私の仕掛け等も、10年前とは変わらないところもありますが、変化しているところもあり、余呉湖仕様の仕掛けも必要に感じています。そんな思いを胸に10月の余呉湖にやってきました。今年は、時間も余裕ができてきたので、平日に竿を出すことが多くなってきましたが、静かな自然の中での釣りが、自分には合っているので、自然と平日の釣りが多くなってきました。今回も平日の静かな余呉を選択しましたが、鯉の活性は芳しくなく、もじりもほとんどなく、アオコが湖岸に打ち寄せてきて、抹茶色した水の色に厳しさを感じますが、こんな状況でこそ喰わせたいと思う気持ちがあるから、遠方から来るのでしょうね。鯉釣りの難しさにも2通りあると考えられます。一つは鯉の数が少ないこと、もう一つは鯉はいても、警戒心が強い場合です。いわゆる場荒れしたポイントの鯉です。余呉湖の場合は、差し詰め後者になるかと思います。
午後に余呉湖に到着して、ポイントを決めて、丁寧に準備を始めます。警戒心が強い、しかも水質も悪く食いが悪い時期の今、フィーディングは量は多くなく、ポイントに正確に、ボイリーの大きさも喰わせと関連します。喰わせは小さく、ハリも小さくします。その代わり、2、3時間で打ち返しをしながら少しづつ寄せるイメージで、1回ごとにボイリーの大きさやワフターも使ったり、リキッドを使ったりしながら、徐々に鯉の関心を引き寄せます。夕方に打った餌に最初のアタリがあったのは翌日の早朝6時でした。残念ながら小型の60台の鯉でした。
サイズアップを狙って、丁寧な打ち返しをすると、午後の2時にアタリがあり、今度は少し引きも強く元気のいい鯉のようですが、トルクを感じることはなく、しばし引きの強さを感じながらの対応になりました。ネットインしたのは、77cm。
なかなか大型は喰ってこないのですが、その後も丁寧な打ち返しをl繰り返しながら、翌朝の早朝に当たりを知らせるバイトアラームの音で目が覚めました。
沖に走らずに、手前に来て岸沿いに護岸の石畳に沿って走っています。石に道糸をこすりながらのやり取りになり、ある意味道糸の限界との勝負でもありますが、少しづつ寄せながらなんとかネットイン。頭がスオメンに見えた時にはこれは大型かなと思われたのですが、背骨が曲がった奇形の鯉で、そのせいか、泳ぐスピードも感じられない鯉でした。89cm。
これを最後に納竿になりましたが、丁寧に打ち返すことで、なんとか喰ってくることがわかり、次につながるかなと、期待を少し胸に、家路につきました。