1999年に廃止された蒲原鉄道
かつては新潟県の五泉と加茂を結んでいましたが、最後は五泉~今泉~村松という4キロ余りのミニ路線になっていました。
今回思い立ったが吉日ということで?その保存車両を訪ねました。
まずは冬鳥越スキーガーデンへ
村松~加茂の峠越え部分にあたり、冬鳥越駅のあった場所?に3両が保存してあります。
まずは私の一番見たかったモハ1
1923年の五泉~村松間先行開業時に用意された木造の小型電車で、東急(前身の目黒蒲田電鉄)最初の電車にソックリです。
しかし両者は異なるメーカーの手のもので、こちらは「蒲田車両製造」というメーカーのコピー品です。
・・・社名からして、蒲田に来ていた目黒蒲田電鉄の電車を「参考」にしたのでしょうか?(笑
東急のは側窓が10個連続していますが、こちらは3・4・3に分かれているのが特徴です。
・・・わざわざ太い窓柱の両脇の窓を細くしてあるのですが、なぜこういう割付なのかは不明ですw
同型が2両(デ1とデ2)あり、1952年にデ1がモハ31に改造(名義の部品流用の新製)されるとデ2がモハ1になってます。
残った方も1954年にモハ51に改造されて廃車になり、2車体とも物置になったようなのですが、ここにあるのがそのどちらなのでしょうか?
ちなみにデからモハになった時期も不明ですのであまり参考にならないかと思います・・・
倉庫というか建物と一体化していた時代に見た事があり今回再会しましたが、正直良く直したなと。
他の部品はゴチャゴチャと車庫に置かれていた物を利用したのでしょうか?
ここで車庫の奥に置かれていたこのブリル台車はナニモノなのかとちょっと考えましたが・・・
モハ31が1952年にこの電車の部品を使って製造される際、台車は重量に耐えられないのでモハ21のものと交換していると何かで読んだ記憶がありますので、モハ1→モハ21のものと考えて良さそうです。
モーターは付いておらず、床下機器も不足していますが雰囲気は十分です。
屋根を見ると真ん中がやや沈んでいるように見え、横から見ると車体中央がわずかに膨らんでいました。
・・・雪国で、鋼製ならまだしも木造車を屋根なしで保存するのはやはり大変かもしれません。
隣に置かれているモハ61
元は西武の電車で、1999年まで活躍しました。
こうしてみると国鉄型の台車を履いていたり、結構重厚な電車です。
こちらは唯一の電気機関車だったED1
現在おなじ場所に保存されています。
全国各地にある米・ウエスチングハウス製の凸ELそっくりですが、これも日本車両のコピー品です。
続いて村松駅へ
蒲原鉄道の本社があり、車庫も置かれていました。
本社屋と駅舎を兼ねる建物は当時のまま。バスターミナルもそのままになっています。
・・・ただ、バスターミナルはかなり縮められ、建物側がわずかに残るのみです。
鉄道用地の大部分は砕石の敷かれた空地になっています。
奥の車庫があった部分にはローソンをはじめ3軒の店舗があり現在も営業しています。
この建物は昔もあったはず。確か変電所でしたか?
店舗裏の空間
現役時代はここに廃貨車やモハ12などが押し込まれていましたね。
廃止後ここにモハ31とED1が保存されました。
しかし2008年に撤去、ED1は移設されたもののモハ31はこの場で解体された模様です。
朽ちた犬釘
村松駅近くの村松城址公園に保存のモハ11
1930年の全線開通時に用意された3両のうちの1両で、部分廃止後にこの場所に保存されました。
1999年と比べると屋根が架けられましたが、相変わらずライトレンズなどは失われています。
木製部品の傷みが進んでおり、窓ガラスも多くが入っておらず、裏から塩ビ?板を当てています。
続いて磐越道安田インター近くの安田民俗資料館のモハ51
先のモハ11と同型ですが、これはモハ13の車体とモハ1の主要機器を組み合わせたから。
でもモハ1改造の名義になっています。モハ13はモハ41に改造された扱いになっています。
資料館は旧蒲原鉄道本社の建物を移築したものだったり駅名標がたくさん置いてありますが、もう長い事営業していないようで荒廃が進んでいます。
隣には日産パトロールの消防車。
資料館内にどのようなものが収蔵されているのか知る由もありませんが・・・
こうした資料が腐朽し失われてしまって良いのでしょうか?
雑駁ではあるがガラクタではないと思うのですが。
最後に五泉高校向かいの体育館に保存されているモハ41。
モハ13の改造名義で作られた車両で、1999年まで現役で使用されました。
車体のわりに非常に小さい台車は元々上のモハ51がモハ13時代に履いていたもの。
公開時間より早かったのですが車内に入る事が出来ました(汗
立ち入ると木の床からのどこか懐かしい香り。
今一度、こんな電車でどこかへ行きたいものです。
改めてまとめてみると、この鉄道は車両が少なめながら改造や転用が非常に複雑・・・そこも魅力ですね。
しかもこれだけの両数が保存されている会社もなかなか珍しいですね。
以上、2015年現在の保存車の現況でした。
※他に県外に蒲原鉄道の木造貨車が保存されています。