クシシュトフ・ウルバンスキを指揮に迎えた2023年度定期幕開けは、まず3つの組曲の全20曲から自らストーリー展開に即して12曲を抜粋したプロコフィエフのバレエ組曲「ロメオとジュリエット」(ウルバンスキー版)。1曲目からコンマス小林壱成率いる東響が実に繊細かつ瑞々しく鳴るのに驚いた。全体を通して、どんなフォルテでも決して煩くならない実に美しくスタイリッシュな仕上がりは見事という他に言葉が見つからない。休憩を挟んではギヨーム・コネッソン(1970-)のHeiterkeit(合唱とオーケストラのためのカンタータ)の日本初演。ウルバンスキーが音楽監督を務めたミネアポリス交響楽団からの委嘱作品で、第九の前座として作曲されたので楽器編成が同じだという現代曲としては変わり者ではあるが、ヘルダーリンの4つの詩をもとに作られた静かて美しく、そして人生肯定的な佳作だ。ここでは東響コーラス(冨平恭平指揮)がよく歌った。最後はシマノフスキーの名作「スタバート・マーテル」作品53。ここからソリストとしてシモーナ・シャトウロヴァ(ソプラノ)、ゲルヒルト・ロンベルガー(メゾ)、与那城敬(バリトン)が加わった。悲しみに暮れる聖母の姿と人々の祈り、そしてキリストの慈愛を感動的に歌ったポーランド語の歌詞とそれに寄せた多彩な音楽語法は実に感動的だ。的確なウルバンスキーの捌きゆえにそれらが曖昧な処無しに実にクリアーに仕上がった。ソリストではとりわけシャトウロヴァの繊細で抒情豊かな歌が感動的で印象に残った。それらを支えた暗譜の東響コーラスも会心の出来だった。
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