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東京シティ・フィル特別演奏会(4月7日)

2023年04月07日 | コンサート
桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎が指揮するブルックナーの交響曲第8番ハ短調だ。この組み合わせで2015年の5月の定期に取り上げられた記録があるが、その時は弦の薄さや木管のアンサンブルに問題があり、悪くはなかったが手放しで誉められなかった演奏だったような印象がある。今回は、以来常任指揮者高関健の薫陶を得てめきめきと実力を身につけているシティ・フィルがどんな演奏をするか楽しみで出かけた。83歳になって足元が覚束ないマエストロではあるが、その音楽は至って若々しい。(昨年のシューマンチクルスの時の音楽より若々しい印象)老け込んだり、滋味を湛えたりということはなく、楽章間もほとんど間を置くことなく驚くほどの推進力で逞しく前へ進む音楽なのである。8年前に比較して格段に合奏力が向上したシティ・フィルは、コンマス戸澤哲夫のリードの下、そんなマエストロの意を汲んで自律的に逞しく音楽を作ってゆく。だからとうとうと流れる音楽に身を浸しているだけでブルックナーの世界に包まれるという感じである。強靭な弦、豊かな木管、豪快な金管、チェロとコンバスの力強い支え、そしてココぞという時の決めのティンパニ。全てが一体となって老マエストロの音楽に精いっぱい奉仕した結果、作為的なところが一切ない純粋にブルックナーの音楽だけが姿を現したような実に立派な演奏だった。最後の降下音が鳴り終わっても危惧されたフライングブラボーは一切なし。暫く間をおいて久しぶりの大歓声がサントリーホールに響いた。

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