連休中の暴食で2キロ増えた体重は、摂りすぎた塩分によるむくみが原因だったらしい。体にたまった塩分水分と合わせて、食べた幸せの塊が脂肪の塊になる前に、早急に放出しないといけないと言われた。
休日夜半にトンちゃん経由で、酒盛り中のハービーに泣きつき、とにかくお水を飲んで汗をかいてと言われ、遠回り通勤、お水ちょこちょこ飲み、坂道ノシノシ歩きに努めた結果、どうにか連休前の数字に戻せたけれど1週間かかった。やれやれ。
先週のこと。InBodyの計測結果を眺めているとハービーがやってきた。
「くるりさん、こんにちはー!お誕生日おめでとうございます」
「あら。ありがとう」
「はい、その紙見せてください」
プリントアウトしたInBodyの数字をしげしげと見て。
「意外と早く戻せましたね。で、どうします?」
「何が?」
「減量ですよ、お誕生日までって言ってましたよね」
「そんなの続けるよ、まだゼロゼロになってないもん。あと1.2キロだから」
ゼロゼロというのは筋肉と体脂肪の調整量のことだ。わたしは筋肉は足りているけれど体脂肪があと1.2キロ余分。
3月下旬くらいから体脂肪量調節はいつまで続けるつもりなのか、ちょいちょい確認をされていたけれど、とりあえずお誕生日が来るまでと適当に答えていた。きっちりと決めていたわけではなく、便宜的に。本当に適当。
「んーーーんーーー」
超困っている。ハービーの言いたいことは分かっている。もう、止めようと言いいたいのだ。
「くるりさん。今の体脂肪率は女性の平均値域内です。年齢からいうとその中でも低すぎる方、あと3%くらいあってもいいくらいです。脂肪がある程度ないと免疫力下がります、お肌もかっさかさ、髪もバッサバサ、潤いがなくなります、かっさかさのしっわしわでバッサバサの枯れ枯れ。枯れた花ですよ」
「え?今そんな感じ?」
「いやいや、これ以上続けたらです」
「だって、あと1.2キロだよ、もうちょっとだよ、やりたい」
「1.2キロの脂肪は相当ですよ」
「やだ」
「うーん。僕が減らす1.2キロとくるりさんの減らす1.2キロは違います」
「デカいのとチビいのってこと?」
「25メートルのプールからバケツ一杯汲むのとお家のお風呂からバケツ一杯汲むのの違いです」
(それは同じ!)
「胸、ぺっちゃんこになりますよ、ぺっちゃんこのかっさかさのしっわしわですよ、いいんですか?」
「・・・・いいわけないじゃん」
(脅しかよ)
「くるりさん、僕はくるりさんの体のことを考えて言ってます。これからは少し食べても太らない体にしましょう」
「・・・別に辛くないし」
「くるりさんは辛く感じなくても体は辛いんですよ。飢餓状態です。だからちょっと食べると全部取り込もうとします。そして体重の増減が激しいと痩せにくくなります」
「そんなこというなら中華料理食べてやる!」
「だめですだめです、くるりさんは脂質がだめなんですから」
なんだよ、じゃあこれまでと一緒じゃん。よくわかんないな。
そこへ、同じくハービーにパーソナルトレーニングをしてもらっているI田さんがやってきた。
「こんにちはー」
「あ、I田さん。この人ってば、わたしのこと枯れた花っていうんですよ、女の人に言う言葉じゃないですよね」
「悪い男だわねえ」
「僕、言ってませんよ。枯れた花になりますよって言ったんですよ」
「かっさかさのしっわしわのバッサバサだって」
「先生、酷い」
「僕、言ってませんよ。なるよって言ったんですよ」
あとはI田さんに任せて逃げた。ハービーのデッカイ声が追いかけてくる。
「くるりさーん!ちゃんと考えてくださいよー!」
どうしようか。もちろん、かっさかさのしっわしわのバッサバサは困る。そんなの奇跡の55歳じゃない。でも、人から言われて何かするのは本当に嫌いなのだ。それがハービーでもだ。わたしに指図できるのはわたしだけなのだ。

青もみじ。緑色大好き。「目に良いグリーン」確か。ジャポニカ学習帳に目の健康のために遠くの緑を眺めましょう的なことが書いてあって、しょっちゅう校庭の木を眺めていた。あんなに眺めたのに近眼になり、今は老眼がオンされた。