角川文庫
2014年 7月 初版発行
解説・戸高一成 特攻、行く者と、送る者の間
329頁
舞台は、米軍が沖縄に上陸し、日本が勝利を望むことなど夢の彼方に消え去っていた昭和20年(1945年)の5月から終戦までの鹿児島の陸軍特攻基地知覧
主人公である特攻機の整備員・須崎の目線で終戦間近の数か月が描かれます
埃と油にまみれ不眠不休で働く毎日
ある朝、万全の整備を施したはずの特攻機が帰還してきます
搭乗員は機体の不調だと言い張りますが…
己の誇りをかけた仕事が仲間の死を導く現実に苦悩する須崎
敗戦を前に彼が成し得ようとした仕事とは?
同じく熊谷さんの作品で特攻隊伏龍を描いた「群青に静め」や先日映画を観た特攻隊回天を描いた「出口のない海」
どれも悲しくやるせない思いが残るばかりです
特攻というものが壊滅的な戦況の中にあってやむを得ず特別な攻撃として実施されたのではなく、日露戦争の頃には既にその思想があり、太平洋戦争でも計画的に準備されていたものなのだそうです
狂気としか思えません
須崎がトイレで特攻兵の亡霊を見る件があるのですが、以前映画かドラマで似た場面を見た記憶があります
何だったのかなぁ
爽やかなタイトルに反して非常に重苦しい内容でした
戦争に意味も理由もありません
他に特攻隊関係でいえば『僕たちの戦争』荻原浩、『永遠の0』百田尚樹、『出口のない海』横山秀夫、その他タイトルは出て来ませんが吉村昭さんの作品数点など。その中でも印象に残る作品でした。整備士を主人公に置いた所も目新しく。
丁度この本を読んでいた頃、ISの自爆テロという狂気の沙汰を不思議な気持ちでニュースで観ていたのですが、これも一種の特攻ですよね。い¥
国は国民を守るために存在するのであって、国を守るために死を求めるなんて完全な本末転倒。
そんな国にならないようにして行かなければ。。。
http://todo23.g1.xrea.com/book/keyword.html?key=9784041019559
荻原さんも原作&ドラマで同じく。
横山さんは映画を観て原作を読む予定です。
カミカゼなる呼び名をつけて人心をコントロールするなど許されませんよね。
アフガニスタンもどうなっていくのか。
世界は益々分断を強めるのではないか気になります。