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辻村深月「凍りのくじら」

2021年09月17日 | た行の作家


講談社文庫
2008年11年 第1刷発行
2020年11月 第55刷発行
解説・瀬名秀明
551頁


藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛するカメラマンだった父が失踪して5年
高校生2年の芦沢理帆子は図書館で同じ高校の先輩・別所あきらから写真を撮らせて欲しいと頼まれます
人間観察能力に優れ常に他者との距離感を上手く保ちながら日々過ごしていた理帆子は戸惑いつつも、彼の申し出を受けることにします

今は新進気鋭のカメラマンとして活躍中の理帆子が高校2年の時の出来事を思い返すシーンから始まる物語

瀬名さんが解説でも書かれていますが、理帆子は理知的ではあるけれど不安定で不器用なところもあり、すごく危なっかしい高校生で、読みながら呆れたりイラついたり、あまり楽しい読書ではありませんでした
その代わり
辻村作品に共通する、終盤に至って明るい希望が見える展開と後味の良さは抜群でした

辻村さん、ドラえもんの大ファンとは知らなかったです
そういえば、短編集「家族シアター」にドラえもんの道具をテーマにした作品が収録されていましたね

余計な話ですが
私は我孫子先生のブラックでシュールな作品のほうが好みです
「笑ゥせぇるすまん」なんて最高!


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