訳・三角和代
ハヤカワ・ミステリ
2013年4月 発行
453頁
スウェーデン、エーランド島の石切場近くのコテージに暮らし始めたペール・メルネル
ある日、彼のもとに疎遠だった父・ジェリーから迎えに来てほしいと電話が入ります
渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父であり、直後に別荘は全焼します
なぜこのような事件が起きたのか?
ペールは娘の病気などの悩みを抱えながらも父の暗い過去を探り始めるのでした
中心となるのはかつて貨物船の船長だったイェルロフ
80歳を超え持病もあって歩くのもつらいのですが、これが自分にとって最後の春になると感じた彼は高齢者ホームを出て、愛する村へ帰って独り暮らしを始めます
かつては漁で栄えた村も、今では通年で暮らす者がいないほどの寂れた場所になっていますがイェロフが求めるのは静けさだけ、望むところです
ところが村では別荘地としてのニーズが高まっていて復活祭を前に彼の家のすぐ近くの石切場エリアにも新しい人々がやってきます
その中の一人がペール・メルネルです
他には威圧的な夫に縛られている島に深い所縁をもつ女性、IT長者夫妻など
彼らに巻き込まれてイェルロフの生活も平穏無事にとはいきません
エルフとトロールの伝説が息づく島で人々の記憶と過去が交錯し深い余韻の残るミステリ、とのこと
ミステリにプラス登場人物たちの群像劇でもありました
事件の結末は後味の悪いものでしたが、ペールもイェルロフも春を迎えたエーランド島で穏やかな時間を過ごせそうです
エーランド島シリーズの3作目にあたるそうです
秋、冬、最後の夏も読まなくては!(^^)!
読後、エーランド島の位置を地図で確認
ストリートビューを見て本作の舞台となった場所の雰囲気がよく分りました
読む前に見たほうが良かったかもしれませんネ
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