幻冬舎文庫
2013年 2月 初版発行
解説・藤田香織
288頁
1999年、46歳にして念願だった作家としての道を歩み出した平さんは、時期を同じくしてうつ状態に陥った実母の介護生活に突入します
本書は、その3年後、母親が三日三晩の危篤状態から生還する場面から幕を開け、それから自宅で心臓麻痺を起した父を見送り、母を看取るまでの長い年月が綴られていきます
『超私小説』とのこと
本書の語り手・タエコさんの言葉は重いです
最後の数行は心に沁みました
忘れたくないです
終りが近づいたとき、わたしが懐かしがるのは、戻りたがるのは、どのときの自分だろう
それは、最後の最後にわかること
神様は教えてくれない
それどころか、これから起きることも、予測すらできない
下手に予測すると、神様に裏をかかれる
ばあさんになったら「あいつが悪い」「こいつのせいで」と恨みと愚痴のかたまりになってタチの悪い正体をさらけ出し「あんな人だと思わなかった」「あの人がこんなことになるなんて、怖いわね」なんて言われるようになるかもしれない
仕方ないね
神様のすることには、かなわない
そういうことなのだ
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