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松本清張「逃亡」

2021年05月25日 | ま行の作家


光文社時代小説文庫
2002年1月 初版1刷発行
2012年10月 4刷発行
解説・森村誠一
上巻 474頁
下巻 511頁

甲州無宿の源次
悪徳岡っ引き・下谷の梅三郎の罠にかかって入牢中に近くで火事が発生します
伝馬町の牢屋敷にも奉行から解放命令が出て我先にと逃げ出す囚人たち
源次も無事逃げおおせ、期限までに指定された本所の回向院に戻るつもりでいたのですが、何の因果か、再び梅三郎の罠にかかり戻れなくなってしまいます
破牢の重罪を負わされた源次ですが、日頃から梅三郎に不満を抱いていた番屋の年寄り卯平の計らいで逃げ出すことができました

源次は梅三郎から逃げ切ることが出来るのでしょうか
錺氏の娘との恋、その娘が梅三郎に騙されたうえ入水自殺したと知って、復讐を誓い、加賀藩も絡む贋金作りなど巨悪に迫っていく源次
大山詣りの中、敵味方入り乱れる死闘の末、事件は意外な展開をみせます
どんどんスケールが大きくなっていく物語に頁を捲る手が止まりませんでした
源次と梅三郎の因縁の不思議を上手く繋いで描いています
また、ところどころで『江戸時代はこうだった』と現代社会との法制度や人々の暮らしの違いが書かれていて源次の置かれた状況が理解しやすかったです


2002年、NHKで上川隆也さん主演でドラマ化されたのを昨年観て読みたかった原作
上下巻で1000頁弱と長かったですがドラマを観ていたおかげでサクサクと読めました
ラストは原作のほうが味わいがあるかな^^

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