ちくま文庫
2009年11月 第1刷発行
解説・松田哲夫
225頁
あっけらかんとお目出度く生きようとしていた江戸の人たち
彼らの暮らしや紡ぎ出した文化にとことん惚れこんだ著者が思いの丈を綴った最後のラブレター
大きく以下の3つの章に分けられています
壱・江戸の粋と遊び
弐・江戸のくらし
参・江戸の食事情
以下は、特に気になった部分です
江戸の頃には「時間がない」という考え方はなかった
時間は無尽蔵にあり、いくら使っても減らないものだ
今、私たちは手柄のように時間がないと言っているのは随分貧乏くさい価値観である
250年間の平和がなぜ維持できたのか
それは低成長で長期安定、過剰生産、余剰生産が無かったということ
衣食住の全てが8分目という暮らしであり、足りない2分については、よそから借りる、他のもので代用する、その場は我慢する、などして日々工夫してやりくりしていたのである
江戸はチープガバメントで町人の富に頼っていた
政府4割、残り6割は民の力で何とか都合してくれ、ということだったようで、庶民たちは今と比べても驚くほど成熟した市民意識、市民感覚を持っていた
何も江戸の生活に戻れ、といっているわけではありません
しかし、学ぶところは大いにあるのではないでしょうか
「コメディーお江戸でござる」で江戸について解説される杉浦さんの時間が毎週楽しみでした
「江戸」に惚れぬいて最期まで添い遂げた杉浦さん
今頃、天国で江戸の人々と楽しく話をされていることでしょうね
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます