文春文庫
2004年 6月 新装版第1刷
2016年12月 第29刷
解説・阿部達二
398頁
「邪剣竜尾返し」「臆病剣松風」「暗殺剣虎ノ目」「必死剣鳥刺し」「隠し剣鬼ノ爪」「女人剣さざ波」「悲運剣芦刈り」「宿命剣鬼走り」
舞台は東北の小藩、海坂藩
架空の藩です
小藩にこれほどの政争や果し合い、斬り合いがあるものでしょうか
優れた剣客だらけの藩です
お殿様は名君とはほど遠い方です
それはさておき
何れも、隠し剣を伝授された男たちが最後の最後にその技を使わねばならなくなる状況まで追い込まれた結果、命を落とす者、自害する者、何事もなかったかのように過ごす者、新たな生活を始める者などなど
主人公たちの生き様に、政争、友情、女人、家族、老いなどを絡めた8編はワンパターンにならず其々が長編のような面白さを持っています
先日NHKで放送された“文豪ファミリア”で藤沢さんが木刀を手にして型を考えながら創作に励む再現シーンがありました
隠し剣の技を考え出すのもネーミングも大変だったことでしょう
姉妹編「隠し剣 秋風抄」も近いうちに読みましょう
そうそう
「必死剣鳥刺し」「隠し剣鬼ノ爪」は映画化されており鑑賞済み
思い出すに原作とは若干の違いもあったように思います
機会があれば再度鑑賞したいです
いっぷう変わった剣客とその家族や隣人たちが醸し出すユーモラスな味わいや、思わずほろりとさせられるところなど、あまり肩のこらない藤沢周平作品集で、ありがたいですね~。
上司の言葉に逆らえないのは今も昔も同じなのですネ。