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小川糸「つるかめ助産院」

2024年08月25日 | あ行の作家


集英社
2010年12月 第1刷発行
262頁

突然、夫が姿を消してしまった小野寺まりあ
夫が帰ってこない部屋にじっとしているのに耐えられなくなり、かつて夫と行ったことのある南の島を訪ねようと思い立ちます
もしかして島に行けば夫に会えるのではないか、と淡い期待を抱いて島に降り立ったまりあ
船酔いもあってかフラフラと島内を歩いていると50歳前後かと思われる女性から突然声をかけられます
その女性は島で助産院の院長をしている鶴田亀子と名乗り、助産院で一緒にお昼を食べようと言います
島の人々も集まっての賑やかな食事を終え、診察室に来るように言われたまりあは亀子に妊娠を告げられ困惑するばかり
ですが、台風で本州行きの船が欠航になり数日つるかめ助産院で寝泊まりするうちに、すっかり島の生活に魅了され、助産院の手伝いをしながら島で暮らし、出産することにします

家族の愛を知らずに育ったまりあは、自分が母親になることに戸惑いながらも、亀子や助産院のスタッフ、島の人々の優しさ、温かさに包まれ、少しずつ自分の過去や夫への思いと向き合えるようになるのでした

島で採れた食材を使って丁寧に(時に手抜きで)作られる料理の数々
読んでいてお腹が空いてしまいました

まりあが出産で苦しんでいる最中に夫が突然姿を現したのには仰天
ここはファンタジーで無理やりな気もしますが良しとします
失踪した理由は最後まで明らかにされず読者が想像するしかありませんが、ずっと気に病んでいた過去を受け容れ、強き母となったまりあとなら、今度は上手く暮らしていけるのではないでしょうか

亀子のいう、妊婦さんは「育む人」ほど的確な言葉はありませんね
10月10日、身体の中で育み、出産後は母乳で、我が子を慈しみ育む母とはなんと素晴らしい存在なのでしょう

登場人物ひとりひとりの掘り下げが甘いようにも思いましたが、細かいことは考えず島の美味しい食事、人の温かさに癒されれば良いのです♪




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