角川書店
2011年2月 初版発行
273頁
もがき迷いながら“いま”を生きる7人の男女が一筋の光を求めて歩き出す
からまりあう男女を描いた7つの連作集
「まいまい」
名前も知らない、自分の部屋で蝸牛を飼う女性
彼女が出入りするに任せる日々を送っていた地方公務員の筒井でしたが…
「ゆらゆらと」
いつも男たちにいいようにされてしまう田村
クラゲの血は何色なの?に答えられる人物は現れるのでしょうか
田村は筒井が勤務する役所の契約社員です
「からまる」
趣味の釣りに出かけたところ、見知らぬ女子高生に付きまとわれます
彼女の笑わない顔に見覚えがあるような?
主人公の男性は筒井の上司です
「あししげく」
アルバイト先のクラブで知り合った男性の子を妊娠した女性
大嫌いだったはずが結婚、出産に至り、幸せを実感します
主人公の女性は筒井の姉です
「ほしつぶ」
筒井の姉の子、蒼馬はクラスで飼っていた金魚を殺してしまいます
誰にもその理由を話さない蒼馬でしたが、海辺で出会ったおじいさんから聞いた星の砂の話に大事なことを教わります
前話に出てくる『蒼馬』という名前の由来がとても素敵です
「うみのはな」
田村の友人、華奈子
優秀で人当たりもよい華奈子ですが、心の奥底には一人の男性への思いがあり、その感情に蓋をして生きるため、自分は女性が好きなのだと公言しています
「ひかりを」
病院の入院患者でキリンレモンが大好きな老人・大原さん
彼が女医の葛月に残した“ファイブスター”の意味は…
大原さんは蒼馬が海岸で出会ったおじいさん
女医の葛月は筒井の部屋に通ってくる女性です
視点が変わる毎に各々が抱える苦悩や喜び、悲しみが深まってきます
それぞれの話に出てくる無脊椎動物が話が進むに従って人間=脊椎動物に深く絡まってきて上手く仕立て上げられていると思いました
本作がデビュー3作目とのこと
才能溢れる作家さんですね
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます