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映画・金の糸/ゴヤの名画と優しい泥棒

2022年03月09日 | 映画(海外)


伏見ミリオン座の同じスクリーン、同じ座席で2本続けて鑑賞しました
コロナ対策で一旦外に出ましたけど18分の休憩を挟んで2本立てといった感じです

「金の糸」
原題 OKROS DZAPI
英題 THE GOLDEN THREAD
2019年 ジョージア・フランス

ジョージアの首都・トビリシで生まれた時からの古い集合住宅で娘一家と暮らしている作家のエレネ(ナナ・ジョルジャセ)
ソヴィエト時代、政府の高官だったけれど最近痴呆の症状が出始めた娘の姑・ミランダ(グランダ・ガブニア)
エレネのかつての恋人・アルチル(スラ・キプシゼ)
3人を結ぶ過去が語られ、ソヴィエト連邦下の記憶が重ね合わされていきます

両親の投獄など、ソヴィエト連邦下で過酷な環境を生きてきたラナ・ゴゴベリゼ監督が、自身の過去を投影し91歳にして発表した過去との和解の物語とのこと
“日本人が数世紀も前に壊れた器を金で継ぎ合わせるように、金の糸で継ぎ合わせるならば、過去は、そのもっとも痛ましいものでさえ、財産になることでしょう”

ロシアのウクライナ侵攻が現在進行中の今
過去との和解は可能なのか…疑問に思います

               




「ゴヤの名画と優しい泥棒」
原題 THE DUKE
2020年 イギリス

1961年に実際に起こったゴヤの名画盗難事件の知られざる真相を描きます

世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれます
犯人はごく普通の労働者で60歳になるケンプロン・バントン(ジム・ブロードペント)
長年連れ添った妻(ヘレン・ミレン)と次男と小さなアパートで年金暮らしをしています
ケンプロンは自身の信念のために一直線に進むタイプで世渡りが下手なため、勤め先でトラブルばかり起こして定職に就くことができず妻が議員の自宅の掃除婦として働く給金で生活費を補っている状態です
妻に罵られてもひたすら我が道をいくケンプロン
次男を味方に、テレビで孤独を紛らしている高齢者たちの生活を少しでも楽にしようと盗んだ絵画の身代金でBBCの受信料を肩代わりしようと企てたのでした


妻役のヘレン・ミレンが良いです
夫に振り回され怒り心頭ながら、夫の淹れてくれた紅茶に笑顔を見せたりもします
2人には長男と次男と、もう一人娘がいたのですが自転車事故で死なせてしまった過去がありました
その悲しみから未だに抜け出せないでいる2人がどうやって折り合いをつけていくのか、も見どころの一つです

長男の恋人に自宅に隠してあった絵画を見つけられ、身代金を折半しようと持ち掛けられたケンプロンは、万事休す、自ら美術館を訪れ絵画を返却し逮捕されます
絵画の額縁を盗んだ罪、絵画を盗んだ罪だったか、身代金を要求した罪だったか、市民の名画と接する機会を奪った罪、3つの罪に問われたケンプロンの裁判をめぐる法廷劇も面白かったです
およそ想像はできましたが、陪審員の「ノット・ギルティ」に拍手です

長男の恋人は結局お金を手に入れることは出来ず…どうしたのかしら
描かれていませんが金の切れ目が縁の切れ目で長男とは別れたのでしょうね

厳しい中にも、軽めにユーモアたっぷりに描かれた60年代のイギリス庶民の暮らし
良作と思います

               

我が国の公共放送はBBCの受信料制度の廃止をどう受け止めているのでしょう???


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