訳・篠森ゆりこ
河出書房
2020年5月 初版発行
194頁
16歳で自死した少年とその母親が生と死の境界を越えて会話を交わし、それを母親が小説として書く、という設定
深刻な事件からさほど時間が経っていないのに驚くほど冷静な会話をする母親と息子
批判をし、疑問をぶつける息子に対し、普段通りに議論を戦わせ、懸命に息子のためになることを教えようとする母親の姿からは、いまだ息子の死を受け容れられていないのがわかります
これは著者自身の体験を元にした小説だそうです
息子の言葉は彼女の脳内の幻想でしかなく、生前にそういう会話をしたかった…彼女の苦しみ、悲しみが著されていて読んでいて切なくなりました
母親は息子の死を受け容れ、前に進もうとしているのではなさそうです
自分を批判し、許そうとしない息子との対話を通して何が起きるのか
彼女の人生は小説を書くことで続いていくのです
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