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池澤夏樹「タマリンドの木」

2023年02月04日 | あ行の作家


1999年1月 第1刷
解説・日野啓蔵-現代の恋愛小説
212頁

大手企業勤務の野山が出会った、タイのカンボジア難民キャンプで働く修子
偶然の出会いから2人の距離は急速に縮まります
東京で一緒に暮らしたい、と願う野山に対し、生き方そのものとして仕事の場を持つ修子には、自分にとって一番居心地のよい場所、難民キャンプを離れ東京で暮らすことは考えられませんでした
深く愛し合いながら、東京とタイに離れて暮らす2人
およそ、恋愛ものが盛り上がる要素のひとつは2人の間を阻害する障害です
しかし、彼らには家族、親族や経済力などの外敵障害は一切ありません
唯一の障害は「自分の生き方」
一番重要なところですね
2人は情緒的にならず感情に走らず、冷静に繰り返し話し合います
そして、2人が出した結論は…

環境問題、人権問題も織り交ぜながら描かれる男女の恋愛小説
脳科学者によれば人の恋愛感情はおよそ3年間しか続かないとか
でも、野山と修子に余計な心配は要らないようです

野山と修子を引き合わせるきっかけを作った同僚、毛利に助演男優賞を差し上げます(笑)

池澤さんの古い本は全部読んだと思っていましたが、まだ残っていました
初出1991年なので30年以上前の作品ですが新鮮な気持ちで読むことができて嬉しかったです



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