集英社
2006年6月 第1刷発行
2006年12月 第4刷発行
204頁
温泉を訪れた男女5組の恋物語
日常から離れた場所で気づく、本当の気持ち
切なく温かくほろ苦い恋愛小説集です
「初恋温泉」
熱海・蓬莱
初恋を実らせ、事業も順風満帆というのに突然妻から離婚を切り出された夫
夫は、いつのまにか妻には自分の最高の部分しか見せなくなっていた、というか最初からそうあるべきと思い込んでいたのですね
「白雪温泉」
青森・青荷温泉
結婚前に訪れた鄙びた温泉宿でミステリアスな男女と襖を隔てた部屋に止まり合わせた男女
2人ともお喋りで親からは「主役に彩を添える脇役みたいね」と言われています
「ためらいの湯」
京都・祇園畑中
W不倫一泊旅行で京都の宿で合流した男女
互いに不倫を止めたいと思いつつ、どちらが先に言い出すか、でダラダラと関係を続けている2人
「風来温泉」
那須・二期倶楽部
仕事中毒の夫が妻との旅行を計画したものの出発前に喧嘩になり独りでやってきた高級ホテル
そこで出会った高そうなコートを着た女性と一緒に食事をすることに
「純情温泉」
黒川・南城苑
親に嘘をついて一泊の温泉旅行に出かけた高校生カップル
彼女への思いがいつか消える日が来るなんて想像もできない男子の純情に胸キュンです
でも、彼女のほうは兄の家庭内トラブルを目の当たりにしていて色々考えてしまうようです
大人たちの複雑な感情を読まされた後に、高校生のただただまっ直ぐな心をドカンとぶつけられ、思わずニコリ
上手いですね~
『無音』『無色』『風が見える』という単語が度々登場します
大人の心の隙間を表現しているのでしょうか
日本全国、北から南まで、温泉めぐりをしたくなりました
夫とではなく、友人か娘と(#^^#)
題名がね、なんか照れ臭い(笑)
http://todo23.g1.xrea.com/book/keyword.html?key=9784087464344