角川文庫
2013年12月 初版発行
2020年 4月 12版発行
解説・瀧井朝世
上巻 391頁
下巻 408頁
難病に冒された息子の治療費を稼ぐために、米国陸軍特殊部隊から民間の軍事会社に移った傭兵のイエーガー
彼のもとに届いた極秘任務は「人類全体に奉仕する仕事」というだけで詳細が明かされません
それでも彼は家族のために、チームの一員としてアフリカのコンゴ密林地帯へ向かいます
一方、東京では、創薬化学を専攻する大学院生の古賀研人が、急死した父親から一通のメールを受け取っていました
その文面を手掛かりに辿り着いたのは、ウィルス学者だった父が密かに用意していた私設実験室
父は何を研究していたのでしょう
研人に何を託そうとしているのでしょう
そこにホワイトハウスの政治家や研究者の動きが絡み、やがて驚愕の事実が明らかになります
何がどうつながっていくのか
関係のないサイドストーリーかと思っていたら重要な伏線だったり、絶対コイツ怪しいと思っていたらとんでもなく善人だったりします
まるっきりフィクションとも思えない内容に空恐ろしささえ感じます
人類が繰り返してきた『大量虐殺』
人類は存続するに値するものなのか
繰り返し問いながら人間を否定する物語ではありません
人間は人間を信じ、助けようとする生き物なのです
そして、イエーガーと息子、研人と父、コンゴ密林地帯に暮らすピグミー族の父と幼い息子、3組の父と息子の物語でもありました
文句なく面白いエンタメ小説でした
これ、全30話程度のドラマか、150分x2くらいで映画化されないかしらん
その辺りかな?
これで高野さんの発表作を完読してしまいました。
もっとたくさん書いて欲しいと思うのは贅沢ですかね^^
作家さんには申し訳ないのですが専門的な内容が続くと、厭きてきちゃうし、ここは必要なかろうと飛ばしちゃいます