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宮部みゆき「さよならの儀式 8 Science Fiction Stories」

2023年07月30日 | ま行の作家


河出書房新社
2019年7月 初版発行
2019年9月 5刷発行
413頁

「母の法律」
被虐待児を救済しうる奇跡のシステム、マザー法により新しい家族の元で幸せに暮らしていた少女・二葉
しかし、養母が病気で亡くなったことで未成年である二葉は施設に戻らなければならなくなります

「戦闘員」
妻を亡くしてから独り暮らしの老人・達三が、毎朝の散歩ルートで少年が防犯カメラを壊そうとしているのを目撃
以来、防犯カメラが気になるようになった達三は奇妙なことに気づきます

「わたしとワタシ」
45歳独身、文具会社で働くわたしの前に突然現れた30年前のワタシ
「45歳のあたしって、おばさんみたいになるの?」今にも泣きそうなワタシにわたし心外
「シミだらけじゃん」「そばかすだらけだよね」と口喧嘩する2人でした

「さよならの儀式」
使っていたロボットの廃棄処理手続きにやってきた若い娘に対応する青年
この世界には人間よりロボットの方がふさわしい、と思いながらロボットを組み立て、ロボットになれない自分に嘆きます

「星に願いを」
学校の上空を隕石が横切った後から体調を崩しがちになった妹
姉として一生懸命妹の世話をするのですが、一番怖いのはお姉ちゃん、と思っているようです

「聖痕」
ある日、子ども相手、学校相手、家庭相手の調査員をしている女性の事務所に寺嶋と名乗る男性が、12年前に殺人事件を起こした息子のことで相談にやってきます
詳しく話を聞いていくうちに、SNS上で寺嶋の息子が〈黒き救世主〉に祭り上げられていることがわかります

「海神の裔」
フランケンシュタイン博士が生み出した死体から新たな命『屍者』を生み出す技術が全ヨーロッパに流出
屍者たちは最新技術として日常の労働から戦場にまで普及している世界を迎えていました
本作は、太平洋戦争終結後、日本における『屍者』の追跡調査報告書の中で、特に当該屍者の発見時の状況ならびに地域社会との関りが得意なものを、聴取記録者の肉声をほぼそのまま文章化したものです

「保安官の明日」
人間的な作業をこなす人造擬体に仕事を盗られ、人間は食料クーポンだけで生きている世界
ある一人の重犯罪者の男に罪を犯さない人生を送らせるために作られた〈ザ・タウン〉では人造擬体が人間ごっこをしながら暮らしています
男は、9周回目に入っても罪を犯し、やり直し
その世界でただ一人、“保安官”だけは生身の人間の部分を残しており、〈ザ・タウン〉が真の終わりの時=男が罪を犯さない人生を迎えるまで、見守っているのです


ごく身近にありそうな、それぞれに趣の違うSF世界
共通するのは、人間は地球外生命体やロボットに対峙できるのか、人間とは何か
ストーリーテラー宮部みゆきは健在でしたけど、8話あわせて平均点といったところでしょうか


猛暑の中
愛車の定期点検が終わるまで冷房の効いたディーラーさんで読み耽りました^^






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