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藤沢周平「夜消える」

2021年03月25日 | は行の作家


文春文庫
1994年3月 第1刷
2017年5月 第30刷
解説・駒田信二
225頁

江戸・市井に生きる人々を描いた7編

「夜消える」
酒に溺れ仕事も出来なくなった父親のせいで所帯を持つ話が流れそうになった娘
「おとっつぁんなんか死んでくれればいい」という言葉を聞いた父親は大好きな酒を土間に置いたまま姿を消してしまい、三年が経ちました

「にがい再会」
岡場所に身を落とした幼馴染に再会した商家の主人
幼馴染に三十両貸して欲しいと頼まれますが五両だけ包んで渡すと「多分こんなふうにな結末になるんじゃないかと思っていた」と言われます
幼馴染は商家の主人を試したのです

「永代橋」
博打に現を抜かし子供が熱を出していても家の金を持ち出して一晩帰らなかった男
子供が亡くなったことをきっかけに女房は出ていきます
五年が過ぎ、偶然昔の女房に出会った男はまた寄りを戻したいと思うのですが…

「踊る手」
遊びから帰ってきた十歳の少年は、同じ長屋で夜逃げがあったことを知ります
しかし、がらんどうの家には寝たきりのおばあさんだけが残されていました
生きる気力を失ったおばあさんを助けようと長屋の人々は力を合わせるのでした

「消息」
太物問屋の手代だった夫が突然姿を消します
失踪の原因は皆目わからないまま長屋で夫を待ち続ける女房
五年が過ぎたある日、夫を見かけた人がいるという噂を耳にします

「初つばめ」
早くに両親を亡くし、いかがわしい料理屋で働きながら弟のために稼いできた姉
所帯を持つことにしたと報告にきた弟を前に、どうにも相手の娘が気に入らないのでした

「遠ざかる声」
大店の主の悩みは、亡くした女房の幽霊が再婚を妨げることでした
単純に嫉妬からの時もあれば、的確なアドバイスで主をトラブルから守る時もあり
最後に女房の幽霊が推薦した再婚相手は意外な女でした


7編とも、裕福であっても貧乏であっても、その環境に関係なく人の心根の温かみがしみじみ伝わってくる良作でした
映像化して欲しいです



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4 コメント

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藤沢周平は (narkejp)
2021-03-25 19:49:44
やっぱりいいですね。かなり読むのが苦しい作品が続いた後に、最後はクスリと笑える幽霊の話。講談社文庫で読んでいます。
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/cb0c9375e442ce7353a3a22ca4301254
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narkejpさん (こに)
2021-03-26 08:03:03
いいですね~。
短編は全部で160を超えるとか。時間が経つと忘れてしまうのもありますが再読になっても全然OKです。
返信する
おや、間違い。 (narkejp)
2021-03-26 19:20:36
×講談社文庫
◯文春文庫
返信する
narkejpさん (こに)
2021-03-27 13:49:28
弘法も筆の誤り、ですね。
ありがとうございました<m(__)m>

あ、居眠り磐音も読んだのは文春文庫から出た決定版です。
最近、文庫は文春が多いような気もします。
(*^^)v
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