2014年 日本
劇団ひとり、初監督作品
売れないマジシャン・轟晴夫(大泉洋)
生れて直ぐ父・正太郎(劇団ひとり)の女性問題で母・悦子(柴咲コウ)は家を出てしまう
正太郎に育てられたが、高校を卒業後、家を出てからは絶縁状態になっている
もう20年も薄汚れたマジックバー『マジックBARのぶきち』で働いている
店長ののぶきち(ナポレオンズ・小石至誠)に手品師だって喋りで笑いを取らなきゃ駄目だと言われるも、口下手が災いしてか一向に芽が出ない
母に捨てられ、いい加減な人生を歩く父に育てられた自分
マジシャンとしての成功など夢のまた夢、先に成功した後輩に嫌味を言われ惨めな思いにとらわれる
貧乏暮らしに疲れ果て、一体自分は何のために生きているのか、なぜ生まれて来たのか、分からなくなっている晴夫だった
ある日、警察から電話で正太郎が亡くなったことを聞く
線路の高架下でホームレスとして暮らしており脳梗塞で倒れたらしい
正太郎の遺骨を引取、遺品を眺めていた晴夫に一閃!
『青天の霹靂』
雷の直撃を受けた晴夫が目覚めると、そこは昭和48年(1973年)の東京・浅草だった
2013年に戻っても居場所も無いと考えた晴夫
どうしたものかとボンヤリ階段に座って何気にコインマジックをしている晴夫を見たひとりの少年が、マジックが出来るなら、ということで浅草の雷門ホールの支配人・丸山(風間杜夫)に紹介してくれる
謎のインド人『ペペ』としてスプーン曲げを披露すると客は驚き、大拍手
-昭和48年は、ユリ・ゲラー来日の前年です-
徐々にホールの人気者になる晴夫
ペペのアシスタントをするのが若かりし頃の悦子
エセ中国人マジシャン・チンとして活躍しているのが正太郎
何かと衝突する晴夫と正太郎だが、丸山の発案でコンビを組んで喧嘩マジックと称するネタで観客を集めるのだった
悦子が妊娠していることを知る晴夫は生れてくるのは自分だ、と確信する
今まで母に捨てられ、ロクでもない父のせいで自分の人生は惨めだと思っていたのだが、どうもおかしい
父と母は互いに信頼し合っているし、生まれてくる赤ん坊のことをとても大切に思っている
辻褄が合わない現実に混乱する晴夫だった
冒頭では惨めったらしくて疲れた表情を見せていた晴夫が、終盤にはとても清々しい表情に変わり優しく穏やかな空気を纏っていました
最後に晴夫が見せるマジックショーは、本当にカッコイイ
悦子の出産前日、病室で晴夫と悦子が語り合うシーンも良かったですが、私は最後のマジックショーが最高でした
紅一点、柴崎さん、とてもキュートです
風間杜夫さん、昭和の雰囲気がよくお似合いです
タイムトラベルものが好きです
本作は、タイムトラベルで起こるやっかいな混乱は殆どなく(いや、最後に用意されている←とても感動的)
悲喜交々、人情を描いた作品です
のぶきちの口癖とか、警察署の担当者とか、クスリと笑えるシーン満載
混乱は起きませんが、絶妙な伏線が散りばめられていて楽しかったです
ナポレオンズのあのマジックの真実、この映画の通りだったら素敵ですね♪
笑って笑って、ホロリときて
とても心が温かくなる映画でした
マジックは全て大泉さんと劇団ひとりさんご本人がなさったそうです
撮影はオールロケでCGも使っていないそうです
劇団ひとりさん、初監督作品としては及第点ではないでしょうか
ぼくは時間が経てば経つほど
心に染みていく感じがします。
この作品。
こういう(時間が経つにつれ)深く
なる作品が本来のいい作品なのかなあと。
皆さんにぜひ観てもらいたい作品ですね。
『麦子さんと』みたいな感じかな。
笑いと涙より、人情、人間賛歌ですかね。
日本人向け、ザ・邦画、大好きです。