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藤沢周平「闇の梯子」

2022年10月05日 | は行の作家


文春文庫
2011年5月 新装版第1刷
2017年8月 第2刷
解説・関川夏央 梯子の下の深い闇
326頁

「父(ちゃん)と呼べ」
大工の徳五郎が軽く酒を飲んで帰る途中、たまたま見かけた物盗り騒動
下手人の痩せた男は番屋につれていかれ、一緒にいた5歳くらいの男の子が逃げてきます
不憫に思った徳五郎はその子を家に連れて帰り、食事を与えます

「闇の梯子」
まだ若い彫師・清次
女房のおたみと裏長屋住まいで、まだ子供はいませんが、江戸で押しも押されぬ彫師になるという希望を持っていました

「入墨」
姉・お島の飯屋で働くおりつ
店の外にいるやせ細った見すぼらしい老人が幼い頃に家を出た父親だと気づきます


「相模守は無害」
海坂藩での14年におよぶ隠密探索を終え、江戸に戻った明楽箭八郎
探索の結果を若年寄に報告し、虎ノ御門外の御用屋敷の中にある長屋に戻ります
ところが、三月が過ぎ、海坂藩に政変があったらしきことが判明
箭八郎は再び海坂藩に向かいます



「紅の記憶」
麓家の次男・網四郎
肩身の狭い部屋住暮らしをしていましたが幸い、家中の殿岡甚兵衛の一人娘・加津と祝言を挙げ婿入りすることになりました


明るい作風に変わる前の作品集ですが、人間の温かさと明日への希望が見える名作揃いです
「入墨」は2014年に「雪明かり」で読んでいましたが、何度読んでも厭きることはありません



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2 コメント

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todo23さん (こに)
2022-10-06 08:51:43
解説で表題作が藤沢さんの最初の奥様の病気と重なると知り、作家の表現と苦悩に頭が下がる思いでした。
藤沢周平さんは全部名作です( ;∀;)
返信する
私の読書メモから (todo23)
2022-10-05 15:40:43
「1974年出版の藤沢周平の第3作品。これまでの二作が、苦難に叩きのめされた主人公が最後に死んで行く、あるいは更に深く沈み込んで行くのに対し、このあたりから最後に何とか生き残るようになって来たようです。」

確かに、名作です。

http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/19453982.html
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