文春文庫
2010年9月 第1刷
解説・島内景二
368頁
主人公は
老中・水野忠邦による天保の改革で江戸屋敷を失った交代寄合佐羽家、留守居役の小日向弥十郎
分家の東佐羽家の屋敷に居候しながら屋敷探しに奔走する日々だった
その最中に、馴染の地面屋(今でいう不動産業)の行方不明事件が起こり、とんでもない江戸の闇に関わってしまう
若い頃からの道場仲間や愛する女性・右京に支えられ困難を乗り切る弥十郎
50代前半という設定ですがまだまだ若い、元気です
遠山金四郎、鳥居耀蔵も少しだけ登場
時代小説らしい剣劇、謀略、色恋、人情がふんだんに盛り込まれています
事件の解決に大きく寄与するのがタイトルにもなっている「月芝居」
建物に詳しい著者のアイデアに大いに楽しませてもらいました
このような作品がもう発表されないと思うと本当に残念ですが仕方がありません
せめて既発表の作品を大切に大切に読んでいきたいと思います
文庫カバーの絵は弥十郎と右京が乗る船が水路を急いでいる情景を描いています
どこかで見たような、と思いましたら
同じ文春文庫から出ている藤沢周平「蝉しぐれ」でした
江戸の町にとって水路がいかに重要な役割を果たしていたかが伝わってきますね
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