みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0218「親友の結婚」

2018-06-03 18:51:23 | ブログ短編

「ねえ、智子(ともこ)。ちょっと飲みすぎじゃない」
 良枝(よしえ)は智子の前に水の入ったコップを置いた。智子は完全(かんぜん)に目が据(す)わり、ろれつも回らなくなっている。
「だから、何なのよ。良い妻(つま)って。あんたさ、そんなんで良いと思ってるの?」
「もう、何なのよさっきから。そんなに、私が結婚(けっこん)するのが気に入らないの?」
「ふん、何が結婚よ。あんたみたいな優等生(ゆうとうせい)がいるから、男はつけ上がるのよ」
「はいはい。もう遅(おそ)いから、今日は泊(と)まっていくでしょ」
「うん、そうする。――今日は朝まで飲むぞーォ」
「なに言ってるの。飲みすぎだって言ってるでしょ。もう、いい加減(かげん)にしなよ」
「いいじゃない。もう、こうやってあんたと飲むこともなくなるんだから」
「別にいいのよ。いつでも遊(あそ)びに来て。賢(さとし)さんも…」
「ああっ、もう! そうやって、あたしは良い妻をやってます、って見せつけたいのね」
「そんなこと思ってないわよ。私たちは、これからもずっと友だちなんだから」
 智子は身体(からだ)をふわふわと揺(ゆ)らしながら、良枝の顔をじっと見つめる。みるみるうちに、彼女の目に涙(なみだ)が浮(う)かび、顔をくしゃくしゃにしながら良枝に抱(だ)きついた。
<つぶやき>お祝いしたいのに、何だかちょっぴり寂(さび)しくて。女心は揺(ゆ)れちゃってます。
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