みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0228「とんだシェア」

2018-06-13 18:59:03 | ブログ短編

 部屋(へや)の中は、いろんなものが散乱(さんらん)していた。その中で、女の子が二人、髪(かみ)を振(ふ)り乱(みだ)し息(いき)も絶(た)え絶(だ)えに座り込んでいる。この様子(ようす)を見ていた別の女の子が言った。
「もう気がすんだでしょ。このへんで、仲直(なかなお)りしたら」
「何で手を出したのよ。拓也(たくや)はあたしのものなんだから」
「私のほうが先(さき)でしょ。横(よこ)から割(わ)り込んできたくせに」
「あなたこそ。拓也は、あたしを好きだって言ってくれたの」
「バカなこと言わないで。私は愛してるって言われたわ」
 二人はまた取っ組み合いになる。別の女の子はため息をついて、二人を引き離(はな)す。
「もういい加減(かげん)にしてよ。二人とも振られたんだから。それでいいじゃない」
「よくないわよ」
「そうよ。あなたにそんなこと言われる筋合(すじあ)いはないわ」
「そう。じゃあ、勝手(かって)にしなさい。あたし、拓也が待ってるからもう行くね。ちゃんと、この部屋片(かた)づけといてよ。あたしたちの共同(きょうどう)の場所(ばしょ)なんだから」
 別の女の子はいそいそと出て行った。それを見送った二人、顔を見合わせて、
「あたし、ここから出て行くわ。あの子といると彼氏(かれし)なんてできないもん」
「私も、そうする。――ねえ、私たち、またシェアしない? 一人は寂(さび)しいし…」
<つぶやき>もっと誠実(せいじつ)な男性を見つけましょう。今度は、同じ人を好きにならないでね。
Copyright(C)2008- YumenoyaAll Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする