「もしもよ。この世界(せかい)がなくなって、私たち二人だけになったらどうする?」
つぐみは真剣(しんけん)な顔で言った。好恵(よしえ)はちょっと首(くび)をかしげて、
「それは大変(たいへん)ね。でも、そんなことにはならないと思うわ」
「だから、もしもの話よ。もしもそうなったら、私たちお互(たが)い助け合わないといけないよね」
「そうね」好恵は売店(ばいてん)で買った焼(や)きそばパンを手に取った。
「食べ物も、やっぱり二人で分け合わないと」つぐみは好恵の方に身体(からだ)を寄(よ)せて、「私は、そうするよ。だって、私たち親友(しんゆう)だもんね」
「もう、何なのよ」好恵は少し離(はな)れて、「これは、あげないわよ」
好恵は焼きそばパンを後ろに隠(かく)した。つぐみは頬(ほお)をふくらませて言った。
「いいじゃん。私、今日は焼きそばパンの気分なの。半分(はんぶん)こしようよ」
「やだ。あたしがこれを買うのに、どれだけダッシュしたか。最後(さいご)の一個だったのよ」
「すごいよね。私のためにそこまでしてくれるなんて。やっぱ親友だわ」
「何言ってるのよ。これは、あたしのです。そんなに欲(ほ)しかったら、ダッシュしなさいよ」
「そんな…。私が、足が遅(おそ)いの知ってるくせに。何でそんな意地悪(いじわる)言うのよ」
つぐみは悲しげな顔をする。好恵はしぶしぶ同意(どうい)するしかなかった。
<つぶやき>売店(ばいてん)の争奪戦(そうだつせん)は熾烈(しれつ)なんです。体力と知力を駆使(くし)してゲットしましょうね。
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