みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0238「恥ずかしい失敗」

2018-06-23 20:02:44 | ブログ短編

 冴子(さえこ)はいつも冷静(れいせい)で、どんな仕事(しごと)でもテキパキとこなしてしまうやり手の社員(しゃいん)だった。そんな彼女の前に現れたのは、彼女の過去(かこ)を知る幼(おさな)なじみ。まさか同じ会社(かいしゃ)にいたなんて、思ってもいなかった。彼の出現(しゅつげん)で、彼女の調子(ちょうし)は狂(くる)いっぱなし。
 冴子は彼を呼び出して言った。「ねえ、余計(よけい)なことは言わないで」
 彼はキョトンとして答えた。「何の話だよ? 俺(おれ)は別に…」
「兼子(かねこ)さんに言ったでしょ。あたしのこと」
「いや…。あ、この間(あいだ)、飲(の)みに誘(さそ)われちゃって。あの人、いい人だね」
「その時ね、しゃべったのは。何で教えたのよ。あたしの小学生の時のこと」
「えっ? 俺、そんなこと話したかなぁ」
「あなたしかいないでしょ。あんな、恥(は)ずかしい失敗(しっぱい)を知ってるのは」
「ああ、あれか。何だよ、そんなことまだ気にしてるのか?」
「あたしは、この会社では優秀(ゆうしゅう)な社員なの。兼子さんだって、そんなあたしを…」
「お前さ、兼子さんと付き合ってんだってな。いつ結婚(けっこん)するんだよ」
「な、なに言ってるのよ。そんなこと…」
「あの人、お前に向いてるかもな。お前のこと話したら、ニコニコしてたぞ」
<つぶやき>子供の頃は失敗をするもの。全てひっくるめて好きになってもらいましょう。
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