みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0222「彼の決断」

2018-06-07 18:46:56 | ブログ短編

 木村(きむら)は思い悩(なや)んでいた。あれから鳥山(とりやま)のことが気になって…。
 そんな時、鳥山が同僚(どうりょう)の男性と会社を出るのを見かけた。その男は、何人もの女子社員を口説(くど)いていると、もっぱらの噂(うわさ)がある。木村は、思わず二人の後を追いかけた。
 二人は繁華街(はんかがい)にある洒落(しゃれ)たバーへと入って行った。木村は少し躊躇(ちゅうちょ)したが、「何やってんだよ」と呟(つぶや)いて、バーの扉(とびら)を開けた。
 店内は意外(いがい)と広く、薄暗かった。木村はカウンターに座ると、彼女をさり気なく捜(さが)した。そして、店の奥のテーブル席に彼女を見つける。彼女の前には、色鮮(いろあざ)やかなカクテルが。男は、しきりに飲むように勧(すす)めている。彼女は手を振(ふ)り、断(ことわ)っているように見えた。木村は少しホッとした。しかし次の瞬間(しゅんかん)、彼女はグラスに手をのばし始めた。
 彼女の手がグラスに触(ふれ)れる間際(まぎわ)、別の手がグラスをつかんだ。そして、一気(いっき)にカクテルを飲み干(ほ)す。彼女は驚(おどろ)いて顔を上げた。そこにいたのは木村だった。
 木村は男の方に振り向くと、「悪いけど、僕(ぼく)の彼女なんだ。もう誘(さそ)わないでくれる」
 男は、バツが悪そうに席を立った。
「彼女って?」鳥山は訳(わけ)が分からず訊(き)いた。
「仕方(しかた)ないだろ。心配(しんぱい)なんだ。もう、君が飲まないように、ちゃんと僕が見てるから」
<つぶやき>好きって気持ちは、どこから始まるのでしょ。きっと、些細(ささい)なことからかも。
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