みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0225「世紀の発見?」

2018-06-10 18:41:16 | ブログ短編

「ついに天使(てんし)の矢(や)を発見(はっけん)したぞ。これで、究極(きゅうきょく)の惚(ほ)れ薬(ぐすり)の開発(かいはつ)が一歩前進(ぜんしん)だ」
 等々力(とどろき)教授は小躍(こおど)りしながら、研究室(けんきゅうしつ)に入ってきた助手(じょしゅ)に言った。
「教授(きょうじゅ)、今度はそんな研究をしてたんですか?」助手の立花(たちばな)は困惑(こんわく)の色を隠(かく)せない。
「立花君、早速実証(じっしょう)に取りかかるぞ。準備(じゅんび)をしたまえ」
 立花は顕微鏡(けんびきょう)をのぞき込み、「でも教授、これはバクテリアの一種(いっしゅ)じゃないんですか?」
 教授は助手の言葉(ことば)など耳に入らない様子(ようす)で、
「君は好きな娘(こ)がいるそうじゃないか。それも、ずっと片思(かたおも)いとか」
 立花は顔をこわばらせた。「何で、そんなこと…」
「私が恋(こい)バナにうといとでも思っていたのかね」教授は時計(とけい)を見ながら、「君の片思いの相手(あいて)を呼(よ)び出しておいた。もうそろそろやって来るはずだ」
「な、何で? ちょっと、待ってくださいよ」
 教授はビーカーを手渡(てわた)して、「これを飲(の)んで彼女に甘(あま)くとろけるような言葉をささやくんだ。その言葉に乗って天使の矢が彼女に突(つ)き刺(さ)さる。そうなれば、彼女はもう君のものだ」
「イヤですよ。そんなことをしたら彼女に嫌(きら)われて、もう二度と会えなくなります」
「じゃあ、仕方(しかた)がない。私が実験台(じっけんだい)になろう。悪いが、彼女のことは諦(あきら)めてくれ」
「そんな…、ダメですよ! 私がやります。やればいいんでしょ」
<つぶやき>彼女のために、ここはどうしても断れない立花君。彼女に気持ちは届(とど)くのか。
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