みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0240「嫌いなもの」

2018-06-25 18:59:15 | ブログ短編

「あたし、この店いやだ。中華(ちゅうか)にしよ」彼女の気紛(きまぐ)れが、また始まった。
「でも、イタリアンがいいって言ったろ」僕(ぼく)は、ここまで来たんだからと引き止める。
「でも、あたし、今は中華の気分(きぶん)なの。行きましょ」
 もう、こうなったらどうしようもない。仕方(しかた)なく、彼女について行く。幸(さいわ)い近くに中華の店があったので、僕はホッとした。彼女はああだこうだと、注文(ちゅうもん)するのも一苦労(ひとくろう)。やっと料理(りょうり)が並(なら)んで、いただきますになった。ところが、僕が食べはじめると、ピーマンとかニンジンとか、僕の皿(さら)にどんどん増(ふ)えていく。
「だって、あたし嫌(きら)いだもん。食べてもいいよ」彼女は何でもないように言い切る。
 何だよ、それ。僕の彼女への愛情(あいじょう)がどんどん減(へ)っていくような気がする。ほんとに、この娘(こ)と付き合ってていいのかな? 僕は彼女に訊(き)いてみた。
「なあ、どうしてそんなに嫌いなものが有るんだ?」
「嫌いなんだから仕方ないでしょ。それと、この間(あいだ)の山口(やまぐち)って娘(こ)、もう連(つ)れて来ないで」
「何でだよ。彼女は大切(たいせつ)な友だちで、とってもいい奴(やつ)なんだ」
「何よ。あの娘(こ)、あなたのこと変な目で見てるじゃない。そんな人と、一緒(いっしょ)にいたくない」
 この時、僕の好きという気持ちが、一気(いっき)に吹(ふ)き飛んでしまった。もう、こいつとは絶対(ぜったい)に結婚(けっこん)しないし、会うのもこれが最後(さいご)だと決めた。
<つぶやき>周りに気配(きくば)りができないと、あなたの傍(そば)から誰(だれ)もいなくなってしまうかも。
Copyright(C)2008- YumenoyaAll Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする