著者は、京都大学で臨床心理学の博士になり、
大学教員などのアカデミック・ポストではなく、
病院で臨床(カウンセリング)をやりたいと職探しをし、
唯一、家族を養える給料だった沖縄の精神科デイケアに就職。
そこでの4年間の奮闘記(プライパシーの関係上、
登場人物は架空のフィクション)で、
タイトルの副題にあるように、
「ケアとセラピーについての覚書」でもある。
一見、ユーモアを交えたエッセイ風の体裁だが、
内容は深く難しく、私には適切に感想が書けないが、
’私自身について’本書を通してわかったことを書きます。
精神科デイケアに「居る」までになると、
社会復帰は、全くないことはないが難しい。
私は、職場の人事や、面談した産業医から、
「具合が悪そうだから、休職した方がいい。
無理して更に重症化すると、回復まで長引くから」
と異口同音に言われたのだが、本書を読んで納得した。
私はキャパ・オーバーが続いて心身が不調になったが、
自分の身の回りや家の事諸々が全てできて、
その上で、厳しめの仕事ができなくても、
自分を責めなくていい、と思わないと、
治らないし、もっと深刻な病状になると思った。
また、掛かっている精神科医の物言いは、
限られた診察時間の中で、
ケアとセラピーを使い分けているのかも。
本当は、臨床心理士による長時間のカウンセリングを
受けた方がいいのだろうが、
日本ではカウンセリングは自由診療(保険適用外)で高く、
併設している病院も少ない。
だから私は自ら、運動療法や音楽療法もやっている。