〈第三項〉論で読む近代小説  ◆田中実の文学講座◆

近代小説の読みに革命を起こす〈第三項〉論とは?
あなたの世界像が壊れます!

明日の講座のこと

2024-02-23 10:48:19 | 日記
今日は天皇誕生日、お休みですね。

前回の記事でお知らせしましたように、
明日の文学講座は芥川龍之介の童話『白』についてお話しします。
8年前の拙稿「〈自己倒壊〉と〈主体〉の再構築―『美神』・「第一夜」・『高瀬舟』の
多次元世界と『羅生門』のこと―」(『日本文学』2016・8)で論じたことを
下敷きにします。
そこにはすでに、『金閣寺』の〈語り〉と芥川の『羅生門』の〈語り〉が
如何に関わるかを問題にして論じました。
しかし、大変読みづらいと思いますので、
明日は分かりやすくお話ししたいと思っています。

前回の講座で取り上げた『金閣寺』の主人公溝口は末尾、
「徒爾」・無駄事と認識しながらも金閣を放火した後、生きようと思います。
それはいかなることかは『臨済録示衆』の「仏に逢うては」の一節をどう読むかと
深く関わり、そこに〈語り手〉溝口とその「三人の父」との関わりの秘密が隠されています。

ここには〈近代小説〉を読み解く〈本流〉ならぬ《神髄》を追究する入り口があります。
近代小説の〈本流〉は近代的なリアリズムを追求し、そのリアリティを問題化していますが、《神髄》はそれを突き抜けた一種の不条理・背理を抱えています。

今回はこれを芥川の童話『白』で考えましょう。
『白』は短いし、すぐ読めます。
この童話は芥川の生前には単行本では発表されていません。
佐藤春夫と同じ名前の「坊ちゃん」、「春夫さん」が登場します。
最後にお嬢さんの涙が書かれていますが、この涙の秘密を読みましょう。
あまんきみこの童話『白いぼうし』なら、「よかったね、よかったよ」の
チョウの言葉を人間の松井さんが聴き取る秘密を読むことです。

明日初めてお聞きになる方にも、ご参加いただるようにお話ししたいと思います。
お力をお貸しください。共に考えましょう。

2月の講座のお知らせ(一部訂正)

2024-02-21 06:58:38 | 日記
2月24日(土)にいつもの講座を開きます。
今回のテーマは「小説とは何か ―芥川龍之介『白』再読―」です。 

先月は「小説とは何か」を特に「追悼 亡くなられた小泉浩一郎さんの霊に向けて―
「森鷗外生誕一五〇年記念シンポジウム」を起点にして―」というテーマで、
三島由紀夫の『金閣寺』をどう読むかをお話ししました。

どちらも問題にしていることは死と生の相関の問題です。

今回はその死と生の相関をテーマにした芥川の近代小説の一つの極意のような小説、
『白』、これは童話の形式ですが、近代小説のそのものでもあります。
これをいま世界の戦争を意識しながら、問題にします。
 
『白』は大正12年、芥川が死の3年前に書いた犬についての童話です。
これは友だちの黒君を見殺しにしたために体が真っ黒になった「白」が
飼い主の家の「坊ちゃん」や「お嬢さん」に追放されます。
その後、命を棄てて人のために尽くし、「義犬」となり、
最後にまた元の白い犬になって「坊ちゃん」「お嬢さん」に喜ばれる話です。
これは芥川の自決とも深く関わっています。
 
わたくしは以前、この『白」について、
「『白』の行方―近代文学は「愛と認識のからくり―」というタイトルで論じました。
これは平成23年(2011年)3月、都留文科大学『国文学論考』に掲載されました。
今回、これを実に13年ぶりに読み返してみました。
当日は、現在、これをどう読むかをお話しします。

以下はいつもの係の方から掲載依頼された掲示文です。

はじめて方も歓迎します。大勢の皆さんのご参加をお待ちしています。
※下記時間は日本時間です。
作品  芥川龍之介の童話『白』
講師 田中実先生(都留文科大学名誉教授)
日時 2024年2月24日(土)13:30~15:30

参加方法 zoomによるリモート
申込締切 2024年2月23日(金)19:00 まで

参加をご希望の方は、下記申込フォームから申し込んでください。
申し込まれた方には、締め切り時間後に折り返しメールでご案内します。
https://forms.office.com/r/B41gNUxr2z
(昨日アップした申込フォームは先月のものでした。失礼しました)
問い合わせ:dai3kou.bungaku.kyouiku@gmail.com
主催 朴木(ほおのき)の会