〈第三項〉論で読む近代小説  ◆田中実の文学講座◆

近代小説の読みに革命を起こす〈第三項〉論とは?
あなたの世界像が壊れます!

『猫を棄てる』論について

2020-03-13 15:58:28 | 日記
まず、しばらくブログをお休みしていた間に、頂いたコメントを見落としていて、公開していなかったことをお詫び申し上げます。今後はそのようなことがないように注意したいと思います。

村上春樹の自伝的エッセイ『猫を棄てる』は、簡単に解説できる単純な話ではありません。
内容は、村上春樹が少年時代に飼っていた猫にまつわる二つのエピソードに挟まれる形で、中国で従軍していた父親の軍歴と父から聞いた話が明かされています。
そこには父の戦争責任の問題を息子であり職業作家である自分がいかに引き継ぐかが語られていて、それは村上の小説創作の秘密にも関わっています。
村上は「いちばん語りたかった」こととして、自身が「ひとりの平凡な息子に過ぎ」ず、「集合的な何かに置き換えられて消えていく」「一滴の雨水」のような者だけれども、そうであるからこそ「責務」があると言います。「集合的な何かに置き換えられて消えていく」からこそ「責務」があるとは、一見わかったようでわからない難解な言い回しです。これをどう理解したらよいか、私の『猫を棄てる』論では、そのことを中心に論述しています。
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ブログをほぼ一年ぶりに再開します。

2020-03-02 20:31:29 | 日記
ブログを再開します。昨年四月以降、実質的にブログを見ないままにしていました。 ほぼ一年ぶりです。 今年の2月、共同通信の記者の方から長いインタビューを受けました。 それは昨年の『文藝春秋』の六月号に、村上春樹の長い破格の自伝エッセイが発表され、 それが中国と日本双方で話題になり、これに刺激された私は、 「村上春樹『猫を棄てる』の語るもの―「一滴の雨水の責務」を「地下二階」で引き継ぐ―」 と題したものを書いたところ、これが図らずも、中国の雑誌に翻訳して掲載されることになり、 続けて、上海外国語学院に伝わり、11月17日の同大学での研究フォーラムでこれを発表しました。 因みに、私はその翌日から同じく上海にある同済大学大学院での特別講義を一か月し、 12月16日帰国しました。 共同通信の方はそれらに関心を持たれたのだと思います。 そのインタビューの記事は、全国に配信され、複数の地方新聞に掲載されました。
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