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Tシャツとサンダルの候

天高くリンドウ肥ゆる秋のくじゅう その壱

 

9月25日。

久々に家内と九重に登る。

早朝、久留米を出発した。

車を走らせながら、

 

「どの山に登ろうか。たまには涌蓋山もええな。それとも、三俣山てのは?」(私)

「何で私に聞くとね。わたしゃ知らんよ。普通、車の中で決めるか?」(家内)

 

家内の言は、至極尤もと言わねばならぬ。

山登り当日に、登る山すら決めずに、九重に向かっているのだから。

 

「えーっと、お前って、黒岩山から泉水は縦走した事ないやろ。んじゃ、そっちにするか。」

 

凄まじい計画性の無さである。

いずれにせよ、

目出度くも、登る山だけは決まったかに見えたが、

 

 

ブイーーーン

 

 

長者原を通過する頃、

鱗雲沸き立つ秋空が、九重の山々に広がっているのを見ると、

「素晴らしい!こんな日はオーソドックスなルートの方がよか。やっぱ、いつもの星生山から久住山に変えるぞ。」

 

呆れ果てた、行き当たりばったりである。

長者原から牧ノ戸峠へ。

登山道入り口に張り紙がある。

くじゅう別れに設置しているトイレが、危機的状況であるとの由が書かれている。 

近年の登山客の急増で、対応できない状況なのだそうだ。

なるべくこのレストハウスで、トイレを済ませておくようにとある。

 

さもありなん。

俺たちもトイレを済ませておかねば。

さあ、登ろうぜ。

牧ノ戸ルートは、いきなりの急坂から始まる。

遠く由布岳を望みながら、

 

先ずは沓掛山へ進む。

 

沓掛山通過。

 

沓掛山の岩場を降りた頃には、いつのまにか鱗雲が取れ、真っ青な青空となった。

正面に横たわるのは、これから登る星生山だ。  

「あ、リンドウ見っけ。」 

 

この季節の主役リンドウが沿道を彩る。

ヤマラッキョウ

 

アキノキリンソウ

 

ワレモコウはもうそろそろ終わりかな。

 

星生別れ。

西側岩峰より山頂を目指す。  

1か所だけ、人の背丈ほどもある岩がある。

足場が高すぎて、腕の力で自分の体を持ち上げるしかない。

うっかり、岩の上部に手をかけたまま、家内に先行させた。

 

「よっこらしょ。」(家内)

「イテテテ!」(私)

「ちょっと、持ち上げんでよ(怒)」

「バカ。お前の肘が俺の指ば押しつぶしとるやんか。とっとと登らんか!!」

何のかんので尾根に出た。

右側ピークが山頂だ。 

笹の合間にリンドウが顔を覗かせている。

稜線の向こうに頭を出しているのは久住山。

イエーイ

山頂到着だ。

硫黄山の噴煙が真っすぐに登っている。

珍しく今日は、風がないようだ。

星生山稜線。

遠くに久住山、稲星山が見える。

では、稜線を越えて星生崎へ。

 

「山頂直ぐの岩場だけは、慎重に降りらんといかん。ストックは畳め。」(私)

「お、おう。」(家内)

珍しく私の指示に従う家内。

ヤツは星生山縦走は初めてなのだ。

 

それは置いといて、

ヤツがぶらさげている、怪しげなニットのペットボトル入れの件は、ツッコまないように。 

岩場が終わると、暫くは緩やかな稜線歩きである。 

 

ゴジラの背中に差し掛かった。

遠く星生崎の岩の上に、手を振る人影が見える。

星生の窓。

 

星生の窓をくぐり抜けて、下の段の道へ降りる。

お約束のようなもんである。

「え、そうなの?ヒエー。」(家内)


そうこうするうち、星生崎へと到着。

歩いてきた稜線を振り返る。

《ゴジラの背中》とはよく付けたもんである。


 

んで、

私も手を振る。

 

失礼。

美しく青き星生の空の下、

 

避難小屋へと降りていく。 

  

「避難小屋で飯にしようぜ。」




続く
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