11月21日
早朝、博多の義兄と二人、キャンプ場の裏山に登る。
山頂へのアクセスは、巌吼寺石段から始まる。
標高100mにも満たない山だが、傾斜のきつさは、前日の普賢岳の比ではない。
舐めて登ったら、すっ転ぶ事請け合いだ。
空が東雲色に染まる頃、丁度山頂に到着。
有明海側
石仏が見ている方向は、天草諸島である。
サイトに戻り朝食の準備をしていると、謎のオジサンがやって来た。
この地域の事、これまでの自分の来し方、何故自分が原付免許しか持たないのか、私達が知る必要のない事を一方的に喋りまくる。
最後に、イカ墨の汚れが甚だしく厄介な事を説き、
「これ、さっき捕れたばかりのイカ。ひとつあげる。じゃあ、さよなら。」
イカを渡すと、やおら原付に乗って、風のように去って行った。
「何?」
「さあ?」
そんな訳で、朝ご飯である。
これは、長崎の義兄提供の煮込みハンバーグ。
謎のイカと合わせ、何にせよ、朝から豪華である。
朝飯を食べ終えたら撤収である。
そのまま解散……の筈だが、
何故か夜の長崎の町を、路面電車に揺られている。
長崎の義兄に誘われて、つとに有名な一口餃子の店に繰り出すためである。
ここか。
何とも私の好みにドンピシャリだ。
壁の油染みが良い。
もはや私には、印象派の色彩にしか見えない。(←お前だけだ!)
店主が「今でも現役ですよ」と言う黒電話。
実際、私達の目の前で、電話が掛かってきて、それは実証されている。
「長崎大水害の時に、この電話も水に浸かったとバッテン・・・」
乾かしただけで、すぐに使えるようになったと言う。
デジタルでは真似できない、アナログの凄みである。
メニューは名物の一口餃子とニラとじの類いだけ。
何はともあれ、乾杯である。
「お待ちどおさま。」
これがこの店で言う《ニラとじ》だ。
どちらかと言うと、トロトロの薄焼き卵が主役のようだ。
いと美味し!
そして名物の餃子である。
名前の通り一口サイズ。
一皿10個などペロリと入ってしまう。
ご馳走様でした。
「少し歩こうか。」(長崎義兄)
思案橋
歩きながら、長兄の観光案内が続く。
「現在は暗渠になってて、欄干の名残があるだけたい。」
「へえー。」
ここか、花街の丸山って。
「有名な『行こか、戻ろか思案橋』は、丸山花街に行こか戻ろかって事ね。」
「あー、なるほど。」
「これがカステラの福砂屋の本店。」
「ほほう。」
この後、長崎の義兄の家で一泊。
実質3泊4日のキャンプ?となった。
帰ったら、休肝日にしなくちゃね。