かすかべみてある記

日光道中第4の宿場町・粕壁宿を忠心にクレヨンしんちゃんのまちかすかべをみてある記ます。

日光道中粕壁宿・彫刻を見てみよう!(2)『茉莉花(まつりか)』

2022-11-10 19:30:00 | 地域発信情報

公開日:2020/03/14・更新日:2022/11/10

橋上のギャラリー

大落古利根川に架かる古利根公園橋は、全国でも珍しい橋の上に公園がある橋で、春日部市市制30周年にあたる昭和59年(1984)に完成しました。
その橋上にある彫刻は、全てが青銅(ブロンズ)製の単身の人物像で「彫刻のある街づくり」初期の平成2年から3年にかけて設置されました。

今やかすかべの風景にすっかり溶け込んで、彫刻がある橋上のギャラリーとして市民に親しまれています。

その他にも、市制30周年記念として設置された彫刻「春陽」、さらに古利根川東岸の岸壁には「滝と噴水(トテ馬車)」の絵が刻まれています。 

今回は、古利根公園橋にある彫刻をご紹介します。

彫刻『茉莉花(まつりか)』

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※番号があるのは「彫刻のある街づくり」で設置された彫刻からの通し番号。

作品名
『茉莉花』2
設置年月日
1990年3月
作品寸法

(高さ×幅×奥行き)
205cm×70cm×70cm

作品素材 
青銅(ブロンズ)
作者
船越保武(ふなこし・やすたけ) 

1912年岩手県生まれ、2002年没。   

佐藤忠良と共に戦後日本を代表する彫刻家。


舟越保武|NHK人物録

戦後の日本を代表する彫刻家。新制作協会彫刻部創立メンバーであり、東京藝術大学名誉教授。1912年岩手県で熱心なカトリック信者であった父のもと...

NHK人物録 | NHKアーカイブス

 
作者コメント  

身体のねじれ方によって表れる旋律の美というものが、これをつくった頃、10年間の制作課題であった。ちょうど釧路市の幣舞橋に「道東の四季-春」を作ったすぐ後であった。身体の「向き」の変化についての課題が私の中に残っていたのである。身体の「ひねり」とか「向き」というのは、身体の各部分の方向の向きがこのねじれによって少しずつ角度が変わっていく。正面の向きが変化するのである。 この像では、両足の向いている正面が少しずつ右へ向きを変えている。胸の向きではかなり右へ廻っている。俗にいえば「ねじれん棒」のねじれである。このように微妙なリズムが彫像の中に潜むこととなり、投射される光線の明暗も微妙な効果をもつはずである。

引用:

春日部の彫刻

作者のコメントにもあるように、この作品は体のねじれ方によって表れる旋律の美を表現しているそうです。

◆船越保武の作品

所蔵品・蔵書-舟越保武 | 岩手県立美術館

●たつこ像(青森県仙北市・田沢湖畔)

たつこ像 観光情報 | 仙北市

仙北市

 

●日本二十六聖人像

日本二十六聖人記念館

「日本二十六聖人記念館」の情報はながさき旅ネットで。1597年2月5日、豊臣秀吉のキリシタン禁教令により日本で初めてキリシタン26人が処刑されました。殉教の地である「西...

【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット

 

◆余話 

茉莉花はジャスミンの和名です。花言葉は「愛想のよい」「優美」「愛らしさ」「官能的」等。

この彫刻(ブロンズ像)は竹下内閣のふるさと創生事業の一億円で作成・設置されました。因みに、その時に作成・設置された彫刻(ブロンズ像)の中でこの作品の製作費が最も高額だったそうです。   

いずれにしても、戦後の日本を代表する彫刻家の船越保武佐藤忠良の作品がある古利根公園橋の「橋上のギャラリー」。一市民として誇りに思っています。



日光道中粕壁宿・彫刻を見てみよう!(1)『フォーム』

2022-11-06 19:30:00 | 地域発信情報
公開日:2021/12/20・更新日:2022/11/06

橋の上のギャラリー

大落古利根川に架かる「古利根公園橋」は、その名の通り、橋の上に公園がある橋で、春日部市の市制30周年にあたる昭和59年(1984)に完成しました。

その橋上には、青銅(ブロンズ)製の単身の人物像が5体あり、「彫刻のある街づくり」初期の平成2年から3年にかけて設置れました。

その他にも、市制30周年記念として設置された彫刻、斎藤 馨作『春陽』、さらに大落古利根川東岸の岸壁には雨宮一正作『滝と噴水(トテ馬車)』 の絵などが刻まれています。

今やかすかべの風景にすっかり溶け込んで、彫刻がある「橋上のギャラリー」として市民に親しまれています。

 彫刻『フォーム』

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台座には、

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設置年月:1991年3月

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制作:1977年  S.Chinoの文字がみえます。

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橋の上のギャラリー、少し小さいですが。

作品名

『フォーム』4

※番号は「彫刻のある街づくり」で設置された彫刻からの通し番号。

作品寸法

(高さ×幅×奥行き)
84.5cm× 80cm×50cm

作品素材 

青銅

作者

千野  茂(ちの・しげる)

1913年新潟県生まれ。2002年4月12日没。東京藝術大学

 

名誉教授。

作者コメント 

腰掛けた女性が、足先に手を伸ばすかたちから生まれる有機的フォルムの中に、生命の鼓動を表現した。

 

引用・参考:

春日部の彫刻

余話

この作品は「彫刻のある街づくり」の通し番号4の作品です。春日部駅東口から古利根公園橋に向かって歩いて来ると橋の上で最初に出合います。作者は、20年ほど前にお亡くなりになりなっていますが、代表作の『フォーム』が春日部の街にあるのも本当に凄いことだと思います。

秋も深まりました。お散歩には一番良い季節です。今年も残り少なくなり、何かと鬱陶しい今日この頃、大落古利根川の秋風を感じながら、彫刻を見るのも一興かもしれません。

 

 

 

 

 


日光道中粕壁宿・ 千住馬車鉄道(後編)/粕壁「最勝院」から千住「茶釜橋」へ

2022-11-02 19:30:00 | 地域発信情報

公開日:2019/04/08・更新日:2022/11/02

…前編からの続き

千住馬車鉄道の終焉

様々な困難を経てようやく開通した「千住馬車鉄道」でしたが、同時期には、東武鉄道の敷設計画(営業開始は、明治32年(1899))もあり、その影響をもろに受け、千住馬車鉄道会社も徐々に経営が悪化、ついに明治30年(1897)5月、粕壁〜大沢(現在の越谷市)間の営業を取り止め、さらに同年7月には、全線の営業を終了してしまいました。わずか4年ほどの儚い営業運行でした。

その後、大沢〜千住間の営業は、明治31年(1898)11月に設立された「草加馬車鉄道」に引き継がれました。そして、その「草加馬車鉄道」も明治33年(1900)2月に廃線・廃業となりました。この草加馬車鉄道、当時建設中だった東武鉄道(東武伊勢崎線)の工事関係者が多く利用したそうです。皮肉なものですね。

現在、「埼玉県文書館」(さいたま市浦和区)に当時の出願書類等の行政文書はありますが、写真はもちろん、軌条跡など、物としての痕跡は、残念ながら全く残っていません。

古利根公園橋に残るのみ?

今はわずかに、大落古利根川に架かる古利根公園橋のたもとに千住馬車鉄道」をモチーフにした彫刻に残るのみです。 


滝と噴水(テト馬車)雨宮一正作


千住馬車鉄道の評価

この千住馬車鉄道について、「時代を見誤った」とか「経営者が駄目だったんじゃないか」とか、仰る方は少なくないと思います。自分もその中の一人でした。

しかし、よくよく調べて見ると経営陣にもそれなりの人物がいたようです。中にはあの渋沢栄一翁に薫陶を受けた人も。私は、彼らは高い志を持った立派な人達だった、と評価してもいいのではないか、と思っています。

日本の鉄道史に詳しい跡見学園女子大学教授の老川慶喜氏は、著書『明治期地方鉄道史研究』「埼玉県下における馬車鉄道の展開」(1983年)において「馬車鉄道の研究は、近代交通史においていわば盲点ともいえる」、と述べています。

折しも、今年は鉄道の開通から150年目の節目の年。

この千住馬車鉄道については、ほとんど誰も知りません。鉄道の歴史の中の近代化という波に埋もれてしまいました。

それでも、埼玉県の東部地域に馬車鉄道という文明の足があったことは事実です。

なお、「千住馬車鉄道」についての

参考文献:

  • 春日部市史 第5巻 民俗編 1993年
  • 春日部市郷土資料館 第27回特別展 『馬車鉄道の想い出〜千住馬車鉄道〜』 2003年7月
  • 春日部市史別冊『千住馬車鉄道』 春日部市教育委員会市史編さん室 1984年3月 


著作権の関係でAmazonのリンクを貼ります。

なお、購入等のお問合せは、春日部市の文化財保護課(電話:048-763-2449)まで。くれぐれも電話番号をお間違えないようにお願いします。

老川慶喜氏の著書は、こちら


なお、2019年2月、幕末の導入前夜から現在に至るまでの歩みを振り返った『日本鉄道史』三部作が完結したとのことです。(読売新聞2019.4.1付朝刊)