さくらの丘

福祉に強い FP(ファイナンシャルプランナー)がつづるノートです。

仕組預金に手を出すな

2022年07月22日 | お金

仕組預金に手を出すな

 

 以前預金について書いた際に、仕組預金について注意を促した。

 

定期預金と仕組預金は異なるということ。銀行によっては、仕組預金の予定金利を掲げて、積極的な勧誘をおこなっているが、これはデリバティブ取引というリスクを織り込んだ形態であることを理解する必要がある。仕組預金は、顧客が預けたお金を銀行がデリバティブ取引で運用し、利益を狙うことで高い金利が期待できる仕組みであり、外貨預金や投資信託などとの組み合わせによるリスクが内包されている。元本割れもありうるので、かなり慎重に考える必要がある。個人的にははっきり言ってお勧めはしない種類の形態である。

 

 このところ金融機関からの案内で、この仕組預金の勧誘が増えている様なので、改めてその危険性について触れることにする。

 直近の為替レートは、日本円は他の通貨に対して全面安となっている。円米ドルの為替レートは、2月1日時点で114.69円であったものが、7月8日時点では136.06円と急速な円安になっている。この水準は1998年10月以来24年ぶりの安値である。

 背景には、世界的なインフレが進行する中、これを抑制するために各国が利上げをおこない、沈静化を図っている状況下で、日本だけが依然として超低金利政策を継続していることがある。急速な円安の進行は、一部輸出企業を除けば、資源など輸入に頼っている日本にとってはマイナス要因が大きく、「悪い円安」とも言われている。日本円と日本経済の価値は落ちる一方である。

 こうした状況もあり、日本の株式市場も年明けから下降線に入っており、この先好転しそうな気配は今のところない。

 

 このように為替レートが大きく変化するタイミングは、良い方向に動けば予想以上の収支を得ることができるが、一方で悪い方向に動くと損失も思わず増大する危険性を秘めている。問題は、こうした上下を予め予測することが困難であることだ。最初から分かっていれば簡単だが、それは出来ないのが実際だ。

 仕組預金の問題は、こうした予測不能のリスクを利用者にすべて被せて、金融機関は何らリスクを負わないことである。金融機関は、利用者が損失を抱えても、利益がちゃんと出る仕組みになっている。

もちろん金融機関のホームページ上などでリスクについての説明はあるが、正直に分かりやすい内容であるとは言いがたい。例えば、利用者の声をホームページ上に掲載している事例もあるが、良かったとの声はあるものの、損失が発生したとの声を掲載しない、または誤解を受ける様な表記になっている。

 金融商品は元々リスクをある程度抱えているものではある。しかし仕組み預金や仕組み債は、デリバティブ取引という複雑な仕組みを導入することで、リスクの度合いを慎重に検討しないと、思わぬ損失が発生してしまう懸念がいつもある。余剰資金でリスクを承知して投資することは投資の基本であるが、複雑な仕組みはリスクの範囲を掴みきれない場合も生じてしまう。こうなると「投資」と言うよりも「投機」である。

 

 安易に目の前に提示される高利回りに振り回されず、冷静に考えてお金の預け先を考えよう。

 

 

 



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