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さくらの丘

福祉に強い FP(ファイナンシャルプランナー)がつづるノートです。

個人寄付は定着するのか

2022年08月12日 | お金

個人寄付は定着するのか

 

 日本では寄付は定着しないと永らく言われてきた。しかし現在進行中のウクライナにおける戦争を巡っては、非常に多くの人が義援金などの寄付をおこなっていることが明らかになっている。寄付は、今後人々の生活に定着していくのだろうか。

 

 日本赤十字社がこのほど、『ウクライナ人道危機と支援に関する調査(2022年)』とする調査を実施した。この2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、日本赤十字社は緊急支援に取り組んでおり、この活動について全国1200人対象に調査をおこなったものである。

 この結果によると、個人として何らかのウクライナ現地やウクライナ避難民に関する支援をした人は40.3%にのぼる。そして寄付や募金をした人は31.1%にもなる。

 ウクライナへの軍事侵攻を巡っては、連日マスコミ報道のメインとして取り上げられ、市民を巻き込む戦争の悲惨な事実が次々に明らかになるなど、一般的な関心もかなり高くなっていた。これに対して、個人として何らかの支援をしたいと考える人々が多くなったことが考えられるが、約4割の人々が実際に募金などのアクションをおこなったということは、とても大きな意味を持つ。これには、日常的な様々な場所で手軽に募金などの寄付をおこなえる場所が増えたことも背景にはある。

 

 寄付白書2021(日本ファンドレイジング協会)によると、2020年の個人寄付総額は、1兆2126億円となっている。もっとも、この中には6725億円のふるさと納税が含まれている。ふるさと納税も寄付の一形態である。これを除くと約5400億円となる。いずれにしてもここ数年寄付額は増え続けており、2020年は過去最高の寄付額だった。

東日本大震災のあった2011年は、震災寄付が約5000億円あり、その他個人寄付を合わせて1兆182億円であった。ちなみに、ふるさと納税は2008年より始まっており、2011年時点では約650億円の寄付額で、今よりは大分少ない金額であった。

 こうしてみると個人寄付総額の増加は、ふるさと納税の寄付総額の伸長による部分が大きく、2018年にはふるさと納税だけで5000億円に達している。また、大きな災害や戦争の有無によって、寄付金額が左右されることも事実である。その意味で、2022年はウクライナ問題での寄付が大きく増えることにつながってくるのであろう。

 しかし、そうした要因を除いても個人による寄付額は増加傾向にあり、様々な寄付のあり方が広がっている。個人的には税制的優遇措置の拡大を含めて、寄付の文化をより豊かにしていく方向を目指すべきだと考える。

 



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