オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

月百姿 から衣うつ音きけば・・・

2017-06-26 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『から衣 うつ音きけは 月きよみ 

またねぬ人を そらに知るかな』  経信

明治十九年届

 

 

源経信(みなもとのつねのぶ) は平安時代後期の公家・歌人。

宇多源氏、権中納言・源道方の六男。

長和五年(1016年) ~ 永長二年(1097年)閏一月六日

 

 国立国会図書館デジタルコレクション 034

 

 経信の帥大納言(源経信のこと)、八条わたりに住み給ひけるころ

九月ばかりに、月のあかかりけるに、ながめしておはしけり。

砧(きぬた)の音のほのかに聞こえ侍れば、四条大納言(藤原公任)の歌

「からころも打つ声聞けば月清みまた寝ぬ人をそらに知るかな」

と詠ふ給ふに、前栽の方に、 北斗星前横旅鴈 南楼月下擣寒衣

といふ詩を、まことに恐しき声して、高らかに詠ずる者あり。

「誰ばかり、かくめでたき声したらん」と思えて、驚きて、見やり給ふに、

長(たけ) 一丈五六尺(5m)侍らんと思えて、髪の逆様に生ひたる者にて侍り。

「こはいかに、八幡大菩薩、助けさせ給へ」と祈念し給へるに、

この者、「何かは祟りをなすべき」とて、かき消ち失せ侍りぬ。

「さだかに、いかなる者の姿とは、よくも思えず」と語り給へりけり。

朱雀門の鬼なんどにや侍りけん。それこそ、このころ、

さやうの数寄者(すきもの)にては侍りしか。

 

撰集抄  巻8第27話(102) 四条大納言(歌)

出典先:やたがらすナビ

 

 

「唐衣 うつ声聞けば 月きよみ まだ寝ぬ人を そらに知るかな」

(新勅撰和歌集 三二三 実際の作者は紀貫之です。

 

澄んだ夜空の下に衣を打つ音が響く。

まだ寝ていない人がいる。

その人もこの月を見ているだろうか。