6/30(金) 7:55配信
107産経新聞)
仮想通貨「ビットコイン」相場に急ブレーキがかかっている。今春以降、ビットコイン価格は急騰し、5月には一時、過去最高の1ビットコイン=34万円台に上昇した。しかし、足元では30万円を割り込む水準にある。ビットコインの記録方式の「規格」をめぐり、一部事業者が8月1日から新規格の導入を表明し、分裂騒動が起きたためだ。先行きの不透明感から、投資家が他の仮想通貨に資金を分散する動きも出ている。
国内取引所大手ビットフライヤーによると、ビットコインの価格は5月25日に一時、過去最高値の34万7千円台をつけた。取引所を登録制にするなど規制が強化されたほか、家電量販店など決済可能な企業の増加が追い風になったためだ。だが、その後5月末には27万円を割り込み、30万円を下回る状況が続いている。ビットフライヤーの金光碧取締役は「(規格をめぐる分裂問題で)価格が動いている部分が大きい」と指摘する。
ビットコインは国や中央銀行など公的な発行体を持たない。複数のコンピューターに全ての取引を記録し、複製や改竄(かいざん)ができないようにしている。だが、利用が急増したことで、記録を終えて取引が成立したと判断されるまでに時間がかかるようになり、安い手数料で、すぐに海外送金できるなどのメリットが失われる恐れが出ていた。
このため、記録形式を新たな規格に変更する取り組みが進んだ。だが、ビットフライヤーによると、複数の規格が浮上し結論がまとまらず、一部事業者が8月1日から新たな規格に対応したプログラムを使用する方針を表明した。仮に複数の規格に分裂すれば、将来的にどちらかの規格が使われなくなり、取引ができなくなる恐れがある。
投資家は先行きへの懸念からビットコインの取引を減らし、「イーサリアム」や「リップル」など他の仮想通貨に乗り換える動きが目立つ。情報サイト「コインヒルズ」によると、ビットコインの取引は6月に入り、仮想通貨の取引量全体の1割に満たない日も出ているという。取引所など関係者からは、8月1日前後に取引を一時停止すべきだとの声も上がる。
国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は分裂問題について「どう収束するのか、先がみえない」と懸念を隠さない。公的な発行体を持たない仮想通貨の未成熟さが、浮き彫りになった形だ。
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