関空―夢洲に高速船、万博前の開業目指す…近鉄
近鉄グループホールディングス(GHD)は、2025年大阪・関西万博の会場となる人工島・夢洲ゆめしま(大阪市此花区)と関西国際空港を高速船で結ぶ方針を固めた。万博が開幕する25年4月までの開業を目指す。カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致も見据え、課題である交通手段を強化する。
高速船(100トン級、定員100人強)数隻を新造し、夢洲と関空を片道45分で結ぶ。1日に約20便運航し、2000~3000人を運ぶ。近鉄GHDは傘下にフェリー会社を持ち、ノウハウを生かす。同様にフェリー事業を手がける南海電気鉄道と情報交換を重ねており、他の鉄道事業者にも参画を呼びかける。
万博会場への交通手段としては、橋とトンネル各1本がすでに通り、大阪メトロ中央線の延伸も計画されている。関空からの最速の所要時間は、車で高速道路を利用した場合は40分、鉄道を乗り継いだ場合は1時間程度とみられるが、万博には半年間の会期(25年4月13日~10月13日)に約2800万人、1日最大28万5000人が訪れると予想され、道路の渋滞や鉄道の混雑が懸念されていた。
近鉄GHDはさらに、夢洲から瀬戸内海や大阪湾を巡る遊覧船(500トン級、定員約300人)や、夢洲と神戸空港を結ぶ船便の開設を検討。大阪府・市が夢洲誘致を目指すIRには国際会議場やホテルも設けられることから、団体客のチャーター需要を見込む。
また、近鉄GHDで運営する水族館「海遊館」と夢洲、海遊館とテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を結ぶ小型船(60トン級、定員約80人)も就航させる。
近鉄GHD傘下の近畿日本鉄道は、大阪メトロ中央線を通って夢洲と奈良、伊勢志摩方面を「直通特急」で結ぶ計画を進める。グループとして「夢洲を新しい交通のハブ(拠点)にする」(幹部)狙いがある。〈関連記事15面、万博特集28面〉