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2016.2.25 wbs・ワールドビジネスサテライト

2016年02月25日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

シャープ株 急落
株式市場では午前11時過ぎにシャープが鴻海の傘下に入ると伝わるとシャープの株価が6%近く上昇しました。しかしその後、鴻海グループに4,890億円の第三者割当増資をすると発表すると1株当たりの価値が下がることを嫌った投資家の売りが加速し、一転して20%以上値下がりしました。一方の鴻海の株価は一時4%超上昇して取引を終える堅調な値動きとなりました。
・ 楽天証券チーフ・ストラテジスト/窪田真之氏
『シャープが買収された後、液晶事業を立て直せるか、経験のないブランド家電事業をやっていけるか。すぐにこの難しい問題に対して回答を出せるとは思えない。』


アメリカの景気は良い?悪い?
市場では、米国の景気後退入りを気にする声がでてきています。しかし、市場は少し悲観しすぎなのかもしれません。その1つの表れが米10年債利回りの低下です。年初からの国債はりは景気の先行きへの不安が高まった時に安全資産として買われ、その結果、金利は低下します。年初からの中国懸念や原油相場の急落などを受け、足元で米国債の金利は急低下しています。
一方で、アメリカの雇用環境は改善が見られ、消費マインドなども底堅く、更に景気の回復を示すデータもあります。アトランタ連銀が発表しているGDPナウという指標があります。国の経済の状態を表す
GDP(経済成長率)は3か月ごとに公表されますが、このGDPナウはGDPの計算に使われる経済指標の発表に合わせて、1ヶ月に10回程度更新されます。足もとアメリカの経済成長率は2.6%と去年暮れの落ち込みから急回復してきています。実はGDPナウと10年債利回りはここ1年連動してきましたが、今年に入ってかい離が大きくなっています。これまでの連動性から計算すると、10年債利回りは2.3%程度の計算も成り立ち、今の1.7%台の金利は低すぎる、つまり、悲観しすぎているというわけです。週末のG20で加盟各国が景気を支える策を打ち出せば、市場の過度の悲観も和らぎ、株価上昇も期待できるかもしれません。


■■A.T.カーニー日本法人会長/梅澤高明

・ 鴻海のシャープ買収について
鴻海にとっては極めて戦略的な買収だ。売上高はまだ右肩上がりだが、約10年前と比べると営業利益率は相当下がっている。2006年に6%だった営業利益率が、2014年には3.5%になった。鴻海のビジネスモデルは設計製造をして、さらにはコア部品、コアデバイスを内製化することで利益率を確保していく。今回の買収は対アップルでもあるが、そもそもコアのパネルを内製化する、内製比率を上げるというところで利益率を押し上げていこうというのが中心の狙いだ。それからもう一つはシャープのブランドも確保する。鴻海は多角化、川下に出ていく。自社で開発した最終製品のテレビをラジオシャックのチャネルで中国で販売している。もっと強いブランド力を確保すれば、さらに販売を広げることもできる。
シャープは鴻海の中で製品開発と製造の一部門になるわけですから、戦略的なことは鴻海にまかせて、鴻海の投資をしっかりと受け止めながら、部門としてやることにまい進すべきだ。


・ テッド氏、企業の”タコつぼ化”打破について
処方箋として魔法の杖はないが、いくつかよく取られる手法がある。
①中堅や幹部クラスを部門横断で異動させる戦略的人事ローテーション。
②クロス・ファンクショナル・チーム(社内の部門横断的プロジェクト)
③役員のダブル・ミッション化、特に縦の責任を持っていう役員に、横の全社課題のタスクフォースのリーダーにもなってもらう。組織横断型のミッションを与える。そういう役員が増えてくると、視野が広がり次期社長候補も増えてくる。
組織の縦横の堅くなりがちなところを揺さぶる。あるいは異なる視点を持った人たちが集まることでイノベーションを活性化する。


・ 日焼け止め市場
世界で1兆円規模あり、成長率も年率6.4%です。これは化粧品の中では高いほうです。国内の化粧品市場は停滞しているが、このセグメントは国内でも約5%で伸びています。アネッサもアリーも競争力があると思います。UVB(紫外線のB波、日焼けの原因)に対してのSPF基準は世界で統一しています。UVA(しみ・しわの原因になる)に対してのPA基準は、アジアでは基準ができていない国が多い。従って製品開発も未成熟で、逆に日本の製品が、この基準と一緒に入っていくことでいろんなチャンスがあります。業界団体もこのPA基準の導入・普及活動をアジアで進めています。


■ニュース特集


認証技術に革命!?
色で見分ける新技術 カラーコードの可能性
 色の組み合わせで情報を表示する「カメレオンコード」と呼ばれる「カラーコード」が次世代バーコードとしてが注目されいます。従来のバーコードやQRコード(2次元バーコード)と違って、色の組み合わせで情報を伝えるというものです。これを認識するのはスマートフォンなどのカメラです。「カメラ」と「色」で認証技術に革命が起きようとしています。
 遠距離からでも複数のコードが識別でき、動いているものも一瞬で識別できます。日本で初めて「カラーコード」を開発した「シフト」(東京・新宿区)の、「カメレオンコード」は、食品工場や建設現場、図書館などでも活用が広がっています。シフトとNEC、大林組の3社でカラーコードと顔認証技術を組み合わせた高度なセキュリティシステムの開発も進んでいます。広がる「カラーコード」の最新技術と可能性を取材しました。
《取材先》
・シフト
・大林組
・オリエンタルベーカリー
・町田市立中央図書館
・NEC

ホビーショーのミニカーレース「ゲキドライブ」(バンダイ)の車に張られたカラーコード・シール。開発したのは、【シフト】遠藤哉樹 技術本部長
《カラーコード》
色の組合わせで無数のパターンを作ることができる。コード全体がマーカーとして機能するので、離れたところから複数のコードを同時に読むことができる。しかも動いていても追いかけて認識することができる。この特徴を生かして、様々な場面で活用が広がっている。

①東京・町田市立中央図書館では蔵書の管理に活用している。全ての本の背表紙にカラーコードが張られ、それをスマートフォンで撮影することで、一度に蔵書の確認が可能になった。町田市では去年3月から約120万冊の蔵書の全てををカラーコードで管理している。以前は一冊づつ取り出してバーコードを読み取っていたので、カラーコードに変えたことで作業の効率化と、監視カメラを使った貸出業務の自動化を実現できた。

②オリエンタルベーカリー泉佐野工場(大阪・泉佐野市)
業務用パンの製造工場では、作業着の帽子にカラーコードを付けて、監視カメラで1日延べ800人の入退室を管理し、エリア毎に許可された人以外の移動を警告する。異物混入など食の安心・安全が社会問題になる中、カラーコードの導入を決めた。大西真広班長は「ICチップやICタグが食材に紛れ込むと異物になるので、フードディフェンスが重要だ感じている。」と言う。

③NEC玉川事業所(川崎・中原区)
カラーコードの技術を持つ「シフト」とNEC、大林組の3社でが独自の認証システムを研究している。1台のカメラで「カラーコード」と「顔」の2つを認証し、入退室の管理に使う。2つの異なる認証を1台のカメラで可能にしたことにより、カメラの前を通るだけでICカードなどをかざす必要もない。
大林組・杉本弘道課長「ICカードをかざすとか生体認証で指をかざしたり、セキュリティを高めることと利便性は相反する。このシステムは認証される側もストレスなく認証される。」
東京オリンピックに向け大規模施設が続々と建設される中、建設現場のセキュリティ対策としても注目されている。

カメレオンコードは実は10年前に開発されたものです。それがなかなか普及しなかったのに、ここ1年で急速に広がり始めた。その背景には、スマホなどのカメラの性能が向上がある。認識する側の技術の向上が必要だったのだ。


■ニュース

シャープ 鴻海の傘下に
シャープはきょう、経営再建を巡って台湾の鴻海精密工業傘下で再建を目指すと発表しました。4,890億円の出資など鴻海による金融支援は6,600億円にのぼります。シャープの高橋社長はきょうの臨時取締役会で「全会一致で決まった」と話しました。鴻海はシャープの液晶事業に興味をもっていて今回2,000億円を投じます。次世代のディスプレイ有機ELの開発・量産を急ぐためです。有機ELは2018年に発売されるiPhoneのパネルに採用されるため鴻海は受注を確実にしたいと考えています。専門家は、買収の背景には、シャープを日本メーカーとのビジネスの足がかりにする狙いがあると語ります。ただ最終合意には至っていません。
《鴻海(ホンハイ)精密工業》とは・・・?
1974年 郭台銘氏が設立
アップルや任天堂など工場を持たないメーカーから、大量の電子機器の製造を請け負い、急成長してきました。2014年12月期の売上高は約15兆円。1社で台湾のGDPの3割を稼ぎ出しているという。
この巨大企業を1代で築いた郭会長とシャープは因縁があります。4年前、郭会長は経営危機に陥ったシャープに9.9%出資することで一旦は合意しました。しかしシャープの株価が下がったことなどで、契約が白紙撤回になった。高橋社長など経営陣には不信感が残っていると言われています。一方で郭会長はシャープを手中に収めること諦めず、グループ全体で7000億規模の破格の金額を提示し、今回の買収にこぎつけたのです。
しかし提携には暗雲も・・・。
鴻海がシャープから「3500億円に上る将来債務化する恐れのあるリスト」を受け取ったという話で、鴻海は夕方になって突如『内容を精査する必要があり、双方が合意するまで、最終的な合意は見合わせている。』との声明を発表しました。交渉の期限は29日、最終合意に向けて両社はツメの作業を急いでいます。
鴻海の売り上げの約半分を占めるアップル製品、しかし最近は投入した新機種の販売が失速するなど、成長に陰りが見えています。シャープを傘下に収めることで、日本メーカーとのビジネスの足掛かりにしたい狙いがある。
・ 早稲田大学ビジネススクール 長内厚准教授
『スマートフォン市場でiPhoneとサムスンのギャラクシーが戦っている。表面的にはアップル対サムスンだが、実態としては設計製造しているのがiPhoneについては鴻海なので、これは鴻海対サムスンの戦いでもある。鴻海は日本という新たな味方をつけて、アップル含め日本と台湾で韓国メーカー・中国メーカーと戦っていく。その準備としてのファーストステップが今回のシャープ買収です。(鴻海としては)日本台湾連合を作ったということです。さらに鴻海には別のしたたかな戦略があると見ています。アップル1本足打法で、アップルへの依存度が高かった鴻海にとって、経営的にはマイナスなのでそこはリスクになっている。従って、出来るだけアップル依存度を下げ、アップル以外の供給先を増やす。その中に日本の家電メーカー全体が含まれていると思う。』


“マラソン市場”に熱視線
マラソンに関連するグッズやサービスが広がっています。この市場を狙って思いがけない業界からの参入が相次いでいます。東京ビッグサイトで始まった、「東京マラソンエキスポ2016」。3日間の開催で10万人以上の来場を見込んでいます。
 注目を集めていたのは初出展の「資生堂」。紹介されていたのは大量に汗をかくマラソンでも落ちにくいという「アネッサ」の日焼け止めです。特殊な成分が汗に反応して膜を作り、落ちにくくなります。資生堂はこの日焼け止めで10%の売り上げ増を見込んでいます。
 同じく初出展の三井製糖は、「スローカロリーシュガー」を売り込んでいました。消化吸収が普通の砂糖よりゆっくりな「パラチノース」という特殊な砂糖を含んでいます。マラソンの後半でもエネルギーが持続するといいます。そのパラチノースを使ったのが、井村屋の「スポーツようかんプラス」です。走りながらようかんを食べて糖質補給できるよう、指で押して開けるパッケージを新開発しました。


神奈川県の男性 ジカ熱感染
厚生労働省は、ブラジルから帰国した神奈川県の10代の男性がジカ熱に感染していることを確認したと発表しました。去年、中南米で流行が始まって以降、国内で感染が確認されたのは初めてです。男性は、県内の高校に通う高校生で20日まで家族と観光でブラジルに滞在していたということです。発熱や発疹の症状を訴えたため、国立感染症研究所で尿を検査したところ、きょう感染が確認されたということです。現在は熱も下がり、自宅で療養しているということです。ジカ熱は発熱や頭痛、関節痛などの症状を引き起こしますが、症状は軽く、多くの場合1週間ほどで回復します。流行地域のブラジルでは小頭症の子どもが急増していて、妊娠中の感染との関連が疑われています。厚労省は、妊婦の流行地への渡航は控えるよう呼びかけています。


2月の月例経済報告 世界経済の判断引下げ
政府は2月の月例経済報告で世界経済の現状について、全体として緩やかに回復しているとしながらも、「弱さがみられる」との見方を示し、6ヵ月ぶりに判断を下方修正しました。中国経済の減速に加え、アメリカとヨーロッパの設備投資の一部に弱い動きが見られたためです。日本経済の判断は「緩やかな回復基調が続いている」として据え置きましたが、先行きの懸念材料として「海外経済の不確実性の高まり」を挙げました。


英名物記者インタビュー “タコつぼ”組織の打破を
フィナンシャル・タイムズのアメリカ版編集長、ジリアン・テット氏が来日しました。テット氏は、文化人類学を研究した経験を生かして、独自の視点から経済を分析し、欧米で高い評価を受けています。今月上旬にはニューヨークで国連の職員に対して講演もしています。早稲田大学のビジネススクールで、社会人向けに組織論について約2時間講演し、“縦割り”のリスクを指摘しました。また2月24日発売の「サイロ・エフェクト」(日本語訳/文芸春秋)で組織論について書いている。日本駐在中の取材も踏まえ、2000年代のソニーの低迷は”縦割り”が原因だと分析している。
そのテット氏を大江キャスターが日本企業の歩むべき道についてインタビューしました。シャープも東芝も部署を増やし過ぎだと主張。シャープについては、強みである液晶に集中せず、太陽光パネルなど他の事業に手を伸ばしすぎたことが経営不振の原因だと指摘。一方アップルは、6製品までしか作らないと決めていたため、部署間の競争や対立が生まれない。新しい製品ができたら古い製品を無くすやり方で、縦割りのリスクを避けている、と分析しました。もしシャープが日本で競争力のある価格で液晶を作れなくなれば過去を見ている余裕は無く、未来を見るべきだ、と液晶でさえも見直しの対象になりうると指摘した。日本経済が成長するには活力のある新しい産業が必要だという。
また、去年11月日経新聞がフィナンシャル・タイムズを買収し連携を強めている。テット氏も最近月に数回、日経新聞の記者と共にテレビ出演(BSジャパン「早起き日経+FT」)している。日経とフィナンシャル・タイムズの連携については「フィナンシャル・タイムズは日本に新しい窓を持つことができた。互いの報道の手法を取り入れられる。」と述べました。
テッド氏は、企業が"タコつぼ化"しないためには、単に過去の成功パターンを踏襲することになっていないか、社員から見て便利な仕組みなっているだけではないか、さらに本当に客が欲しいと思うものになっていないのではないか、ということを自問自答し続けなければならない。


ドローン活用 災害時の通信を確保せよ
通信インフラ技術を研究するKDDI研究所は大規模災害時にメールを送受信できる仕組みを作り、実証実験を行いました。こちらのドローン。電波が送受信できる小型サーバーを備えています。避難所側にもサーバーを設置。大災害などで基地局が使えない際には被災者からの安否情報などのメールを一時的に保管します。そしてドローンが、避難所の上空に到達すると、無線でメールを送信する仕組みです。今後は、無人航空機を活用することでシステムが使える距離を伸ばし、実用化を目指します。


■【トレたま】異形の安眠枕

【商品名】 マッシーモ マキュラ
【商品の特徴】 不眠症の開発者が作った 様々な睡眠姿勢に対応した枕
【企業名】 ピーアップ
【住所】  東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター11F
【価格】  1万7,064円
【発売日】 3月3日
【トレたまキャスター】 相内優香



2016.2.25 Newsモーニングサテライト

2016年02月25日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NY3指数 反発
強弱入り混じる材料で株価は大きく振れました。原油が荒い値動き。一方、サービス業の景況感には懸念が出始めました。サービス業の景況感が2年4ヵ月ぶりの低水準となり頼みの綱だったサービス業の減速が、市場心理を悪化させました。これを受けて、朝方、株価は200ドルを超える下落。冴えない住宅指標も重石となりました。ただ午後に入って下げを取り戻す動き。きっかけは原油価格の急回復。原油在庫が予想より少なく、また、心配されたシェール大手の決算も想定内、今後の財務改善策も市場に評価され、安心感を与えました。現在の株価、揃って反発です。ダウが53ドル高、1万6,484ドル。ナスダックはが39ポイント上昇です。4,542。S&P500が8ポイントプラスの1,929です。

【NY証券取引所中継】チェサピーク・エナジー決算の影響
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏
チェサピーク決算については、他のシェール企業と同様に、赤字決算は想定内でした。投資家説明会では生産活動より財務内容に質問が集中していました。注目された資金繰りに関しては、ガス田などの資産売却が順調に進み、来月の社債の全額償還を発表するなど、債務の偏差能力に対する不安は一旦落ち着いた。チェサピークの資産売却は投資家の懸念を一時的に和らげた。ただ業界全体として破たん企業の資産を狙っている買い手側はかなりの値引きを要求していると見られ、今後の資産売却に不透明感があり、資金繰りに苦しむ企業も出てきそうです。また銀行は石油会社向け融資額を削減する方向で動いていて、シェール生産企業の破綻懸念は完全に拭い去れたとは言えない。


【NY証券取引所中継】米自動車 メキシコがカギ
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏
米ルー財務長官が、G20での危機対応を期待すべきではない、と発言し投資家心理を冷やして続落してスタート、その後は原油価格に振り回される展開となりました。
--どうしてメキシコメーカーの業績がアメリカの自動車販売を予想する上で重要なんですか?
メキシコの自動車部品大手「NEMAK(ネマック)」は売上高の6割がアメリカ向けです。決算ではそのアメリカ向け売上高が前年比-5%超。アルミ価格の下落が主因としていますが、低金利や雇用環境の改善、ガソリン安など、自動車販売に追い風が多い中でやや不安の残る内容となりました。アメリカの自動車部品は輸入総額の3割超がメキシコ製です。またアメリカで販売される自動車の1割強がメキシコ製で、ここ数年伸びてきています。メキシコはアメリカとの貿易で関税がほぼかからず、地続きという立地、安い労働力を武器にアメリカでの存在感を高めています。自動車販売は景気変動に敏感に反応しやすいと言われています。足元はまだ高水準を維持している自動車販売ですが、ネマックをはじめ、部品メーカー全体の業績から判断しても、今年のアメリカの自動車販売は、正念場を迎える可能性が高い。今年は昨年を下回るのはほぼ確実と見られていますが、プラス成長が維持されるか、心配される。


【為替見通し】注目ポイントは「G20」
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏
111.50~112.50
日米の金融政策がらみの材料に対する反応が鈍く、原油価格や中国市場の動向をにらんで一喜一憂する不安心理が蔓延している。当面は上値の重たい雰囲気から抜け出しにくい。G20は今回は開催地が上海で議長国が中国ですので、有効な景気対策や人民元の安定化策が示されるかが、最も注目されている。サウジとロシアも参加しますので、原油価格の生産調整の議論が進むかも注目です。


【日本株見通し】注目ポイントは「どちらに抜けるか」株価見通し.JPG
解説はインベストラストの福永博之氏
15800~16250
日経平均株価は先週15日に大幅高となった後、17日の安値15632円と23日の高値16350円の範囲で推移する状況が7営業日続いている。今後のイベントにより上下どちらに振れるか、注目される。仮にG20がきっかけで上に振れれば25日移動平均線が上値抵抗線になるものの、押し返されてもドル円が111円台を割り込まずに、5日移動平均線を上回ることができれば底入れ期待が高まる。一方で、一週間以上続く揉みあいを下抜けた場合は、売り優勢となることが考えられるので、その場合は12日の安値に接近したり、割り込んだりすることも考えられるので、逆方向のポジションを持っている投資家は注意が必要です。


【世界の株価】24日の終値

総合指標.jpg













■【プロの眼】3月の追加利下げなし消費者物価指数.JPG
日銀の金融政策を占う上で、注目される消費者物価指数が26日発表される。1月の生鮮食品を除く総合(コアCPI)は市場の予想では横ばい。円高の影響は2月以降に大きく出てくるという。しかし、その後の物価見通しは芳しくない。夏に向けてマイナス件に突入するとみる。こうした物価状況でみると、マイナス金利の幅は広がってもおかしくないが、3月の追加利下げはないという。解説は三井住友銀行の西岡純子氏による解説。

--追加利下げはないと考える理由
物価だけ考えると、追加緩和の可能性を払拭できない状況ですが、目先すぐにインフレ率が下がるというよりは、今年夏ごろに向けてマイナス幅が拡大する展開が想定されます。これまで下がる背景としては
、円高や原油安、経済の需要の回復の遅れ等により、物価上昇ペースが遅れている。政策金利の理論値.JPG夏ごろの物価指数の底を睨んで政策期待が高まるが、今は時期尚早だ。
--今、どういう金融政策の水準なのか、政策金利の理論値から考える。
理論値的にはずっとマイナス。理論値とは、インフレ目標からの解離に経済の需給バランス等を勘案したもので、赤線のように上がったり下がったりする。たとえば、2009年経済の需給バランスが回復した時に上がっており、2013年はインフレ率が上がったことが背景で回復しました。昨年末の段階でおよそ-0.4%と器械的には計算されます。今後もし物価が下がっていくと考えると、理論上はマイナス金路の幅が拡大してもおかしくない。しかしまだ実務に入って1か月で消化しきれてない状況で、しかも実際の効果を見極める前に動くのは早いと考えます。




■今日の予定

2月月例経済報告
米・アトランタ連銀総裁講演
米・サンフランシスコ連銀総裁講演
米・1月耐久財受注
米・決算 ベイトバイ、ギャップ


■経済視点
三井住友銀行 西岡純子氏 『不安の増長』

双日総研 吉崎達彦氏  『円高・低金利・石油安』
実は実体経済に対して、この3つは悪い材料ではない。

■今日のオマケ
三井住友銀行 西岡純子氏
双日総研 吉崎達彦氏



■ニュース特集

大統領選が映し出すアメリカの現状週30時間労働.JPG
アメリカ大統領選に向けた指名争いが熱を帯びてきています。ネバダ州で行われた共和党の党員集会では、トランプ氏が2位以下に大差をつけ勝利しました。ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州に続いての勝利で、予備選や党員集会が集中する3月1日のスーパーチューズデーを前に、支持拡大へさらに弾みをつけました。トランプ氏の支持層はこれまで大学卒ではない白人が中心でしたが、今回は中南米系のヒスパニックにも支持を拡げました。人気が続く背景には何があるのか。その理由を調べてみると、あまり伝えられていないアメリカの現状が見えてきました。
《ネバダ州党員集会 得票率》 
共和党  民主党 
トランプ氏45.9% クリントン氏52.6%
ルビオ氏23.9% サンダース氏47.3%
クルーズ氏21.4%   
解説は、双日総合研究所の吉崎達彦氏。

アウトサイダー候補の躍進には現状への強烈な不満がある。ただ雇用は堅調で、失業率4.9まで順調に下がってきている。しかし個々人についてみると、「週30時間以上働いている人」は実は半分もいない。さらに死亡率について調べると、「米国の中年の白人」の死亡率が唯一上昇していて、その死因は薬物中毒、自殺、アルコール関連(肝硬変等)であり、精神的に追い込まれている様子が窺える。

三井住友銀行 西岡純子氏『失業率は狭い範囲の中で需給がどれだけ均衡しているかという議論にしか過ぎなくて、経済の全体像を語る上では、労働の質であるとか、働いていない人も含めて、健康度合とかも含めて考えないといけない。』

雇用が改善しても、その大部分が移民やマイノリティの人たちが取ってしまって、白人はアンハッピーだ、という意識が反移民になり、トランプ現象を起こしている。民主党で見ると反自由貿易が台頭し、TPP反対と言い出す。大統領選挙が進めば進むほど、普通に経済政策やっていく上ではマイナスな要素が広がっている。

日程  3月1日 スーパーチューズデー
        15日 フロリダ、オハイオ等(大票田)
      7月 共和党大会
      民主党大会
    11月8日 大統領選挙


■ニュース


1月新築住宅販売 ↓9.2%
アメリカ経済のけん引役となっている住宅販売が急減速です。商務省が24日発表した1月の新築住宅販売件数は前の月に比べ9.2%の大幅な減少となりました。季節調整済みの年率換算で49万4,000戸と市場予想の52万戸を下回りました。カリフォルニア州などを含む西部の販売が30%以上落ち込み全体を押し下げました。販売価格の中央値も5.7%下落した一方で在庫は2.1%増えています。

トランプ氏「スーパーチューズデー」に弾み
アメリカ大統領選挙に向けた共和党の候補者指名争いの第4戦、ネバダ州の党員集会で不動産王のトランプ氏が圧勝し、党員集会と予備選が集中する来月1日の「スーパーチューズデー」に弾みを付けました。トランプ氏は得票率で2位以下を20ポイント以上引き離しました。トランプ氏の支持層はこれまで「大学卒ではない白人」が中心でしたが、今回は中南米系のヒスパニックにも支持を広げました。トランプ氏が支持される背景について専門家に聞きました。


サービス業景況感 大幅に悪化
アメリカのサービス業の景況感が大幅に悪化です。調査会社マークイットが24日発表した2月のサービス業PMI=購買担当者景気指数は2013年10月以来の低水準まで下落しました。総合指数は49.8と市場予想を下回り拡大と縮小の節目となる50も割り込みました。


チェサピーク決算 最終赤字
経営破たんの憶測が広がっていたアメリカのシェールガス掘削大手=チェサピーク・エナジーが発表した去年10月から12月期の決算は最終損益が22億2,800万ドルの赤字でした。最終赤字は4四半期連続で、売上高は一年前の半分以下となりました。チェサピークはシェールガス田などの資産売却を進めていて今年はさらに5億ドルから10億ドル分を売却し財務の健全化を図ると明らかにしました。


ブラジル国債 投機的水準に
大手格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、ブラジル国債の格付けを投機的な水準である「Ba2」に2段階引き下げました。今後の見通しについても「ネガティブ」としていて、更なる格下げの可能性を示唆しています。ムーディーズは「ブラジルの債務は3年以内にGDP=国内総生産の80%を超える可能性がある」と警鐘を鳴らしています。


シャープ再建策 きょう最終判断
シャープはきょう「臨時取締役会」を開き台湾の「鴻海精密工業」か、官民ファンドの「産業革新機構」のどちらの支援を受け入れるか最終判断する方針です。経営再建中のシャープはきのう、取締役会を開き支援策について協議を行いました。これまでは、主に7,000億円規模の出資を提示している台湾の「鴻海精密工業」の案について時間を割き話合いを進めてきましたが、きのうは、官民ファンド「産業革新機構」が22日にシャープに改めて提出した事業計画についても検討したと見られます。「革新機構」の計画は、液晶事業を本体から切り離し日本のパネルメーカー「ジャパンディスプレイ」と統合する内容となっています。シャープはきょう、「臨時取締役会」を開きどちらの支援を受け入れるのか決める方針です。


「炉心溶融」公表2ヵ月遅れ
東京電力は、福島第一原発事故の対応をめぐり、核燃料が溶け落ちる炉心溶融=メルトダウンの定義を定めたマニュアルが事故当時あったのに、使っていなかったことを明らかにしました。結果として、炉心溶融の公表がおよそ2ヵ月遅れ、国や自治体への当初の報告で事態を過小評価していたことになります。東電は今後、マニュアルの存在を長期間見過ごしていたことについて、第三者を交えて、調査するとしています。


国産初ステルス機 走行試験
防衛省はレーダーで発見されにくい性能を持つ国産初のステルス機Xー2の滑走路での走行試験を初めて公開しました。Xー2は三菱重工業やIHIなど国内メーカー200社以上が開発や部品供給に参加し、来月中旬までに飛行試験を行います。防衛省は次世代の戦闘機としてXー2の技術を使った国産機を採用するかを2018年までに判断する方針です。


民主・維新新党 参院選後に代表選
民主党と維新の党は、来月中の結成を目指している新党の党首について当面は、民主党の岡田代表がつとめ、夏に行われる参議院選挙後に新たな代表を選ぶ代表選を実施する方針を決めました。また、民主党は、きのう、臨時の会合を開き、党名を変更し、維新の党と合流することを賛成多数で正式に了承しました。


自民党「0増6減」案を了承
自民党はきのう衆議院の選挙制度改革の会合を開き小選挙区の定数を「0増6減」とする案を了承しました。ただ、「削減される6の県をどう選ぶのか不可解だ」などの異論も相次ぎました。また自民党の「0増6減」案については、野党だけではなく連立を組む公明党も反対していて、今後、各党の合意形成は難航しそうです。


神奈川県事務所課長を逮捕
神奈川県が発注した3件の公共工事をめぐり、入札前に予定価格を漏らし、見返りに10万円分の商品券などを受け取っていたとして、神奈川県警はきのう、県の住宅営繕事務所課長廣田岳史容疑者を加重収賄の疑いで逮捕しました。また警察は賄賂を贈った横浜市内にある三沢電機の営業部長の男も贈賄などの疑いで逮捕しました。警察は廣田容疑者が他の入札への関与もないか調べる方針です。


6歳未満 5例目の臓器提供
臓器移植ネットワークは、東海地方の病院にインフルエンザ脳症で入院していた6歳未満の女の子が脳死と判定されたと発表しました。基準が厳しい6歳未満の子どもの脳死判定は5例目です。女の子の肺と肝臓はそれぞれ10歳未満の男女に、腎臓は、40代の男性に提供されるということです。女の子の家族は「とても辛く、苦しい思いはありましたが今できる最善のことをしようと考えました」と話していたということです。


東京・杉並区で火災 1人死亡
昨夜午後7時半すぎ東京・杉並区で火事があり店舗や住宅など6棟合わせて200平方メートルが焼けました。火事はおよそ2時間半後に消し止められましたが、火元とみられる理髪店から男性1人が心肺停止の状態で発見され搬送先の病院で死亡が確認されました。現場は、JR西荻窪駅の南側の住宅が密集する地域で警視庁と東京消防庁がくわしい出火原因を調べています。


ヒト型ロボット 雪道を歩く
軍事用ロボット開発を手掛けるアメリカのボストン・ダイナミクスは最新のヒト型ロボットが自立歩行して雪道を歩く映像を公開しました。こちらがヒト型ロボット「アトラス」の最新機種。二足で自立歩行し自らドアを明けて外出すると雪が積もる山道を歩き始めました。身長がおよそ175センチ、体重はおよそ82キロあり何度も転びそうになりながらもバランスを取って歩き続けます。また荷物を運ぶことや突き飛ばされても自力で立ち上がることができます。アトラスは被災地や戦場での活用が見込まれているということです。ヒト型ロボットは日本勢も得意とする分野ですから負けていられないですね。


■【ネタのたね】

ネスレ日本「アイスコーヒーサーバー」
ネスレ日本が発表したのは、ペットボトル入りのアイスコーヒーをおいしく飲める専用サーバーです。本体に900ミリリットルのペットボトル・コーヒーをセットし、飲み頃に冷えたアイスコーヒーを一杯ずつグラスに注ぐことができます。本体を企業などに無料で貸し出す代わりに、コーヒーの定期販売契約で利益を得ます。ネスレはホットコーヒーやお茶などで既に同様のビジネスを収益の柱に育てています。来月中旬から受付を開始し、夏のシーズンに向けて、更なる成長を狙います。


ダスキン「ザ・シフォン&スプーン」
ミスタードーナツなどを手掛けるダスキンがシフォンケーキ専門店「ザ・シフォン&スプーン」のチェーン展開を本格化させます。クリームがトッピングされたふわふわのシフォンケーキをカップのままスプーンで食べるのが売りです。今は直営2店舗の展開ですが、今後、フランチャイズ店を積極的に増やし、全国40店舗を目指します。




■日経超特急

①イオン営業時間短縮
来月から首都圏1都2県で総合スーパーの7割で営業時間を短縮。シニア需要の取り込みなどを狙い、2012年午前7時開店をふやしたが、今回8時に繰り下げる。また中堅スーパーでも見直しが相次ぐ。コンビとの競争激化や人手不足によるコスト増もあり、効率重視に転じる。

②株式相場、下支えは個人
日経平均株価は16000円前後で上値の重い展開が続く反面、下値の堅さが目立ってきた。長期的な運用をする個人マネーが下値を支えている。年明け以降も日本株で運用する投資信託への資金流入が続き、最近の日経平均は15800円前後で反発する展開が続いている。

③マイナス金利でも運用益-海外勢、日本国債買い続く-
マイナス金利政策による長期金利の急低下にもかかわらず、海外勢が積極的に日本国債を買っている。カギを握るのは通貨スワップと呼ばれるデリバティブ取引。市場ではドルを欲しがる参加者が多く、海外投資家が手持ちのドルを円に換えると、高い上乗せ金利を得られるので、利回りがマイナスの国債を買っても十分な運用益を稼げるという。昨日は国外投資家の国債購入もあり、10年国債の利回りが-0.055%と過去最低を更新した。


■日刊モーサテジャーナル

①大統領選
WSJ『3.1でこの勢いが本物かわかる』
カギとなるのはテキサスやアラバマなど「バイブル・ベルト」と呼ばれる南部の州の動向です。バイブル(聖書)の名の通り、キリスト教の信仰が厚く、アメリカでもっとも保守的な地域です。記事では、バイブル・ベルトは本来は保守強硬派のクルーズ氏にとって有利と指摘。クルーズ氏の支持母体はキリスト教の保守層ですが、トランプ氏に対しては信仰心を疑う声が出ています。このためトランプ氏がクルーズ氏の支持層を切り崩し、指名獲得まで一気に突き進めるのか、スーパーチューズデーは大事なテストになると、伝えている。


②WSJ、日銀にげにゅの購入を提案--その理由
1.原油の取引はドル建て、原油購入でドル高円安になる。
2.原油安がリスク要因となって安全資産の円買いを誘発しているが、この流れも止められる。
③もともと日本は原油の輸入国だし、新たな貯蔵施設への投資も生むのではないか。


③アップルとFBIの対立-iPhoneロック解除-
この他で少なくとも9つの案件で司法省がアップルに解除を求めていたことが分かった。これは23日に公開された裁判所の資料で明らかになったもので、ニューヨークなどで薬物犯罪にも使われた疑いがあるという。記事は、ロック解除の対象がテロ以外にも及ぶ、というアップルの懸念を裏付けている、と伝えた。FBIへの抗議活動もあり、個人情報保護を訴える声も高まっている。しかしWSJは、アメリカ政府は今回の件を、スマホの暗号化技術が犯罪に多く使われている証拠と考え、さらなるロック解除を求めるかもしれない、と伝えた。