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モーニングサテライト・ウォッチ

2016.2.29 wbs・ワールドビジネスサテライト

2016年02月29日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

英国紳士の闘技場 “ザ・リング”とは
イギリスの金融街シティにあるロンドン金属取引所。アルミニウムや銅、鉛などの非鉄金属を売買する世界最大の取引所だ。そこにある「リング」と呼ばれる取り引きの場所では、円形の赤いソファで大声を出し身ぶり手ぶりで取引する。ブローカーが世界の投資家から注文を受け、クロークが価格の変動をつげる。赤いソファに座るのがトレーダーで、実際に取引する。ミスを防ぐため取引はすべて録音される。違反を繰り返すと罰金も科される。コンピューターを使った取引が増えていてリングの取引量を大きく上回るなか、ブランドと信頼を守るために存続を決めた。
中継担当:ロンドン支局 豊島晋作記者


G20後も“株安”止まらず
G20が閉幕し、声明文に世界経済の減速を止めるために各国が「全ての政策手段を用いる」との文言が盛り込まれました。これを受け株式市場では財政政策が拡大され補正予算の審議への期待も高まり、日経平均株価は一時276円高となりました。しかしその後ドル円相場で円高ドル安が進行したことや中国の上海株式市場で株価が大幅に下落したことを受け、日経平均は一転して下落しました。UBS証券の青木大樹シニアエコノミストはG20の結果だけでは投資家がリスクをとる動きは本格化せず、中国やアメリカ経済の強さが確認できることが必要だと分析しています。


■東京大学大学院/伊藤元重教授

・ロボットタクシーの可能性
社会全体の交通システムの中に自動運転車が組み込まれる。電車で行っていることを道路で行う。ただIT技術は破壊的な技術で、今までの制度を壊す技術で、だから革新的なんです。日本は安全性とかよく出来過ぎているから、そういう中でこういうものを取り入れるのは非常に難しい。ですから特区をうまく使って、これまでの制度を取っ払った中で、いろんなことを実験できるようにするのが大事です。今まで日本はせっかく技術があるのに、なかなか実証実験がやりずらくものにならなかった。継続的にやらないと社会に浸透していかないと思います。


・ 世論調査でマイナス金利政策の評価が低い。
マイナス金利政策非常にわかりにくい。実際にの効果が出るためには、住宅ローンに拡がるとか、国債からリスク資産に移るとか、いろんな動きが出ないとわからない。時間を見て効果を見ないといけないし、日銀と政府は国民にもっとよく説明しないといけない。


・ アベノミクスの評価が下がっている
経済が厳しくなると下がってくるのは当然。国際的に厳しい状況になっていて、日本もその影響を受けているわけです。昔から経済にとって最大の恐怖は、人々の恐怖心だと言う。一刻も早くマーケットが安定した中で、国民に分かりやすい次の経済再生のシナリオを示していく必要があります。


・ 商品と本のコラボ
本を置くのは、マーケティングの知恵が詰まっている。
① ストーリー・マーケティング。
モノだけでなくてその背景にどういうコト、楽しみがあるか、知ったほうが商品に愛着が沸く。知って共感して買ってもらえる。
② 店舗に集客するには、常に変化が必要です。百貨店はこれまで年に10回くらい模様替えしていたが、本なら簡単に演出できる。



■ニュース特集

書籍や雑誌など、紙の出版物の推定販売金額は、この10年間で6305億円減っている(2億超→約1.5億)。本が売れない時代と言われて久しいですが、その本を集客の目玉にしようという動きが広がっています。
・ 無印良品(東京・有楽町)15年9月リニューアルオープン
絶好調の秘密、本とのコラボが客を呼ぶ!?
店のど真ん中にムジブックスという本のコーナーがある。本棚が洋服売り場の中にもあり、またワイン売り場の奥には料理本が並んでいる。洋服や雑貨、食べ物、本などが混在している。改装後は売り上げが約15%増えた。この店で本を購入した客は、買っていない客と比べて、1.6倍の頻度で買い物をしている。そして商品と関係なさそうな映画や音楽の本を扱うコーナーもある。本のセレクトは出版や書店のセレクトで有名な編集工学研究所(松岡正剛所長)と連携している。
《無印良品ムジブックス/清水洋平マネージャー》
「我々は無印良品の商品だけで客が満足していると思っていたが、想像以上に本を買っていて、こういう取組をして改めて気づかされた。」
・ HIS来店客が4倍!
「H.I.S.旅と本と珈琲と」(東京・表参道)2015年10月オープン
猿田彦珈琲・・・日本のサードウェーブ珈琲の走りと言われています。お洒落な店内を抜けて半地下部分を覗いてみると、書籍売り場が広がっています。店で扱う本は1500冊。いずれも旅にまつわる本です。珈琲を飲みながらゆっくり楽しめます。そこから地下一階まで降りると、ようやく旅行相談窓口が設けられていました。
《エイチ・アイ・エス関東販売事業部/熊本智久さん》
「今までは目的意識の高い客しか来店せず、旅行会社は敷居が高かった。その敷居を下げることで、来店客数は約4倍になった。」
来店客の増加によって、旅行商品の売り上げも2割増(前年同期比)。ガイドブックだけでなく、旅への想像力をかきたてる本のラインナップが集客につながっているのです。
・ HISから委託を受けて、バッハ(幅充孝代表)が選書を行っている。幅さんは青山ブックセンターや編集者として経験を積んできた。書店も出版社も倒産が相次ぐ厳しい時代、普段読書をしない人たちにも、本の魅力を伝えたいと、異業種とのコラボを始めたという。幅さんの手がけた本コーナーは百貨店にもある。
・ 伊勢丹新宿店(東京・新宿区)
地下2階にあるため以前はなかなか人が集まらなかった美容用品の売り場「ビューティアポセカリー」。2012年に美容関連の書籍売り場を設けたことで集客力が高まり、フロア全体の売り上げは3割増えた。


■ニュース

食品ロスを減らせ “もったいナイ”を価値に!
産業廃棄物処理業者のダイコーが廃棄を委託されたカレーチェーン「ココ壱番屋」の冷凍カツを横流ししていた事件で、愛知県は今日ダイコーに対して処理能力を超える廃棄食品を保管していたとして、廃棄物処理法に基づき撤去命令を出しました。この事件の背景の一つにあるのが食品ロスです。賞味期限が迫ったなどの理由で、本来は食べられるのに廃棄されている食品の問題です。国内で年間600万トン以上にも上る食品ロスを減らす動きがいま広がりを見せています。
 大地を守る会は自社の飲食店で「もったいナイ魚」を使ったランチ・ディナーの提供をはじめます。「もったいナイ魚」とは、これまで価値がないと思われて捨てられたり、家畜の飼料などにされてきた魚です。大地を守る会で扱う「もったいナイ魚」は110種類ほどに増え、売り上げは2010年度に比べおよそ3倍になりました。2014年からは野菜や果物でも「もったいない」シリーズの販売を始めました。傷がついたり形の悪い野菜や果物を通常の3~5割引きで販売します。「もったいないシリーズ」の売り上げは現在、1億円を突破しています。
 今月ヤフーのオークションサイトに登場した通販サイト「KURADASHIKI.jp」では、鍋のだしなど季節外れの商品や賞味期限の近い食品を4~9割引で販売しています。このサイトを運営する「グラウクス」では、メーカーからこうした商品をまとめて引き受け、値引き販売し、売り上げの一部を環境保護団体などに寄付しています。現在、200以上の企業と取引し、サイトを利用する会員は2万人を超えました。
日本では年間642万トンの食品ロスが発生。それは日本人一人一人がおよそ1杯のご飯を毎日捨てているのと同じ量になります。そもそもなぜ食品ロスが多いのでしょうか。
《グラウクス/関藤竜也社長》
「暗黙の了解と言われる3分の1ルールは製造から3分の1経った時までにコンビニ、スーパーで販売できる状況、つまり納品・陳列までいかないと出荷できない。食品ロス問題を改善するには全ての人がハッピーである必要がある。」
賞味期限が6カ月の場合、製造から2カ月過ぎると小売店に納品できず返品・廃棄になってしまう。


住友不動産 横浜マンション 全棟建て替え提案
横浜市西区のマンションで、地下の基礎部分を補強する鉄筋が切断されていた疑いが強まり、販売した住友不動産が住民側に全棟の建て替えを提案していることが明らかになりました。問題となっているのは、住友不動産が2003年に分譲した5棟建ておよそ260戸のマンションです。2014年には、くいが強固な地盤に届かず、1棟が傾く施工ミスが判明し、1棟は建て替え、残る棟については補修する方針を示していました。今回、住友不動産が住民にあてた文書によると、住民の指摘を受けて調査した結果、地下の基礎部分を補強する鉄筋の23か所に施工不良の疑いが見つかったというものです。住友不動産は、この結果を受けて従来の方針を白紙に戻し、5棟すべての建て替え案を住民に提案しました。施工した熊谷組などによると地下のコンクリートに配管の穴を通す工事で、誤って鉄筋23ヵ所を切断した疑いが、あるということです。
--なぜこうした問題に?マンションの検査を手掛ける専門家は・・・
《日本建築検査研究所/岩山健一社長》
「丸投げの連鎖を生む重層構造。元請けと末端で作業する下請けとの距離がありすぎて、指示系統が末端まで直接行き渡らない。防衛方法は、①10年経ったマンションを購入するか、②購入して2年以内に管理組合がまとまり可視検査を依頼する。契約上(2年以内であれば)デベロッパーは補修しなければいけない義務を負うので、鉄筋切断が2年以内に判れば、買い戻しや契約解除を要求できる。」


ロボットタクシー 行動で実証実験
神奈川県藤沢市できょう、報道陣に公開された自動走行車を使った「ロボットタクシー」。一般の住民を乗せた公道での実証実験を3月11日まで行います。実験を行ったロボットタクシー株式会社(中島宏社長)はDeNAと自動運転技術の開発を行うZMPが立ち上げたベンチャーです。スマホのアプリを使い日時と場所を入力し予約をすればその情報を受信した車が自動で指定した場所まで迎えにきます。車にはGPSが取り付けてあるほか、センサーやカメラなど車の周辺の状況を認知するための機能が備わっています。今後、アプリと車のスムーズに連動させ、効率的な配車に加え、渋滞や客の動向を先回りすることでより低コストな運行サービスを実現し、2020年までに完全自動運転によるロボットタクシーの実用化を目指します。


シャープが交渉期限 延長発表 鴻海が条件変更か?
経営再建中のシャープは台湾の鴻海精密工業による買収交渉についてきょうまでとしていた交渉期限を延長することを発表しました。シャープは25日の臨時取締役会で、鴻海の傘下に入ることを決めていましたが鴻海は、シャープが提出した総額3,500億円に上る将来、債務になる恐れのあるリストについて「精査する必要がある」として、正式な契約を保留していました。鴻海の関係者はテレビ東京の取材に対し「交渉は1~2週間でまとまる見通し」としていますが、精査の結果によってはシャープへの買収条件の見直しもあるとしています。


TX日経世論調査 アベノミクス「評価」過去最低31%
テレビ東京と日本経済新聞が今月26日から28日に行った世論調査で、アベノミクスを「評価する」と答えた人は、過去最低となる31パーセントで、「評価しない」が50パーセントにのぼりました。また、日銀が導入した「マイナス金利」については、「評価する」は23パーセント、「評価しない」は53パーセントでした。一方、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、前回調査から横ばいの47パーセントでしたが、「支持しない」は5ポイント上昇して39パーセントでした。


東電元会長ら強制起訴
福島第一原発の事故を巡り、東京電力の勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人が大津波対策を怠ったとして、検察官役の指定弁護士は業務上過失致死傷の罪で東京地裁に在宅のまま強制起訴しました。起訴状によりますと、3人は、津波対策を講じないまま原発の運転を続けて重大事故を発生させ、近くの病院から避難した入院患者44人を死亡させるなどした罪に問われています。3人については、東京地検が2度、不起訴処分としましたが、検察審査会が去年7月、「起訴すべき」と議決しました。原発事故の刑事責任が初めて法廷で争われることになりますが、原発事業者に課せられた注意義務の範囲をどう判断するかが大きな焦点となります。


安倍総理 アダムズ方式方式「20年以降に」
安倍総理大臣はきょう、衆議院の選挙制度改革をめぐり、人口比をより反映する定数配分方式のアダムズ方式の導入は、次の本格国勢調査が行われる2020年以降になるとの認識を示しました。アダムズ方式は有識者調査会が「1票の格差」を是正する案として示しているもので、民主党などの野党は、2010年の国勢調査などに基づき、早期の導入を求めていますが、自民党は早期導入に否定的で、対立が続いています。


高浜原発4号機が緊急停止
26日に再稼働し、試験運転中の関西電力高浜原発4号機できょう午後2時ごろ、発電開始の作業を始めたのと同時に、発電機が止まるトラブルがあり、原子炉が緊急停止しました。関電によりますと、送電する電力の電圧を上げる「主変圧器」の故障の可能性が高いとみられます。関電は、原子炉の冷却は正常に行われており、外部環境への影響はないとしています。

米アカデミー賞(ロサンゼルス)
主演男優賞 レオナルド・ディカプリオ(41)
      作品「レヴェナント:蘇えりし者」
      5度目のノミネートで初受賞
作品賞「スポットライト世紀のスクープ」
    トム・マッカーシー監督
長編アニメーション部門でノミネートされていた「思い出のマーニー」(米林宏昌監督・スタジオジブリ作品)は受賞を逃しました。


■【トレたま】足のハンモック

【商品名】 折りたたみフットレスト
【商品の特徴】乗り物の座席にぶら下げて使うハンモック型のフットレスト。
【企業名】 メトリックス
【住所】 千葉県市川市八幡2-16-15本八幡駅西口ビル505
【価格】 1,833円(税別)
【トレたまキャスター】 大澤亜季子



2016.2.29 Newsモーニングサテライト

2016年02月29日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

指標頼みの相場に
週末のアメリカ株は小幅に高安まちまちでした。世界的な政策協調も期待薄で、市場はますます、指標頼みになりそうです。アメリカの10ー12月期のGDP改定値は、小幅に上方修正も、株価を大きく持ち上げるには力不足でした。G20では、財政・金融政策の行き詰まりが露呈された格好。今週は月初めの重要指標が多く将来への希望というより、足元の経済の実態を確認しながらの相場展開となりそうです。では、先週末の株価です。ダウは3日ぶり反落。57ドル安、1万6,639ドル。ナスダックが3日続伸です。8ポイント上昇の4,590。S&P500が3日ぶり反落、3ポイントマイナスの1,948でした。


【為替見通し】注目ポイントは「円ポジションの傾き」円ポジション.JPG
解説はJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏
113.20~114.50
先週金曜日はアメリカの第4四半期GDP、1月のPCデフレータが予想を上回りまして、アメリカの金利もドルも上昇して114円近辺で引けています。ただアメリカのGDPは在庫の増加が予想以上だったということで、それが影響して予想値上振れだったのです。従ってこれは第1四半期GDPに対してネガティブなんですが、ドル買いで反応したということです。
円相場は先週水曜日に111円近辺まで円高が進んで、木、金曜日で急速に円安が進んでます。海外勢は円高見通しに傾いていて、円ロングポジションも積み上がってきていますので、G20を前に円の売戻しがあったのかなと思っています。
G20に関してはダイセルブルーム・ユーログループ議長が、日本について討議があり、競争的な通貨切り下げに陥るのではないか、との懸念があったと発言した。先週のヒラリークリントン、ルー財務長官の発言と合わせると、欧米の円売り介入に対する強い牽制が出てきている。そう考えると、なかなか円安方向には進みづらく、日本の投資家が抱えている円ショートポジションの巻き戻しで円高圧力が再び強まってくる可能性がある。


【日本株見通し】注目ポイントは「スーパーチューズデー」
解説はマネックス証券の広木隆氏株価見通し.JPG
16200~16500
G20で財政出動を促す内容になったのは、5月にサミット、夏に参院選を控える日本にとって特にポジティブです。経済対策期待が株価の下支えになると思います。今日は上昇を見込んでますが、仮に今日プラスで終わると今年初の3日続伸となりまして、少し潮目が変わった印象になります。
今回の大統領選は稀にみる混戦で、その不確実性が市場のリスクになってきたと思います。スーパーチューズデー過ぎるとほぼ大勢がはっきりするので、株式市場もしっかりしてくる可能性があります。但し、2008年の時はオバマ氏とヒラリー・クリントン氏の決着が附かなくて6月まで持ち越した例もあるので、今回もわからないですが・・・。日経平均ですが2月1日の高値から12日の安値までの半値戻しを
先週末にクリアしています。短期的な方向としては上を向いていると思いますが、今週はアメリカの重要指標が目白押しで様子見気分が強くて16000円台前半の水準固めに終始する。
総合指標.jpg







■【エマトピ】

ロシア製造業の現地生産化で商機
経済の低迷が続くロシア。去年の小売売上高はリーマンショック直後の落ち込みより厳しいものとなった。ロシア政府は産業の構造改革を目指し輸出代替政策を進めている。その政策によって、製造業の現地生産化を強化されるといい、そこにビジネスチャンスがあるという。報告は野村総研モスクワ支店の岩田朗氏。
Q--去年から続く原油安やルーブル安でロシア経済は厳しい状況が続いてますね。
A.去年は小売売上高の前年比がリーマンショック直後よりも大幅のマイナスとなりまして、消費が縮小しています。これまでの経済危機とは異なりこの状況が長期化するとの認識が強まっていることから、消費を抑える状況が顕著となってきました。ただモスクワで週末にスーパーなどに行きますと、確かに食品や輸入品の物価が上がっていると感じる一方で、買い物客で大変混雑してまして不況下にあるように見えません。アッパーミドルや富裕層が多いモスクワだけは特別な市場だと感じます。
Q--そういった状況を打開する対策は講じられているんでしょうか。
A.原油価格が持ち直せば・・・という期待がある一方、経済悪化の大きな要因の一つが、資源エネルギー依存の高い経済構造になります。経済成長のためには、産業の多様化を図り、構造改革を進めることが本質的に重要な課題です。まだ明確に公表されていませんが、ロシア政府は改革の柱として、
 ①輸入代替政策の推進
 ②農産業の強化
 ③付加価値製品の輸出
 ④極東開発の加速
などを目指しています。
Q--そういった改革はすぐに効果が出るものではありませんし、そうなると現地の日本企業にも逆風ですね。
A.確かに日本のロシア市場に対する見方は慎重ですが、この不況下にあってもロシア市場の事業拡大に積極的な企業はあります。背景にあるのは今申し上げた改革の柱の一つである、輸入代替を目指した製造業の現地生産化と、ルーブル安があります。中長期的にはロシア経済の成長と市場拡大に伴う需要増が期待されています。
Q--具体的にはどんな日本企業が進出しているんですか?
A.製造業の現地生産に欠かせない機械や部品のメーカーです。例えば、メーカーの森精機(工作機器)やのフジクラ(ケーブル製造、ワイヤハーネス)は昨年ロシアでの生産を開始しています。日系自動車部品メーカーと総合商社の合弁企業が現地生産を開始します。ルーブル安で日本からの投資は絶好の機会と言えます。改革を進めるロシアの日本への期待も大きく、新たなロシア市場参入を後押しすると考えられます。

■JPモルガン・チェース銀行 佐々木融氏

・G20明け、日本市場は・・・
そんなに大きな影響はないと思う。G20の声明は大きく3つポイントがある。
①世界経済の下方リスクがあると指摘した。
②金融政策だけはなくて財政政策が必要だ。
③競争的な通貨切り下げを避ける。
今週の雇用統計の注目は非農業部門雇用者数よりも賃金で、もし強い数字が出ればドル高です。

・G20/人民元について
英EU離脱については、声明で世界経済下方リスクとして具体的に出ている。中国や為替については、名指しではなくて周辺コメントで話されている。ただ周辺コメントでは日本についても結構指摘している。


■今週の予定

29日(月) 1月鉱工業生産指数
1日 (火) (中国)2月製造業・非製造業PMI
      (米)大統領選スーパーチューズデー
      (米)2月ISM製造業景気指数
      (米)2月新車販売台数
2日(水) 2月マネタリーベース
      (米)地区連銀経済報告
3日(木) (米)2月ISM非製造業景気指数
4日(金) (米)1月貿易収支
      (米)2月雇用統計


■今日の予定

1月鉱工業生産指数
1月商業動態統計
3月ユーロ圏消費者物価指数
独・1月小売売上高
米・3月シカゴPMI


■今日のオマケ 経済視点『金融政策→財政政策へ』
JPモルガン・チェース銀行 佐々木融氏
世界的にマイナス金利政策に対する疑問が出てきていて、今まで金融政策に頼りすぎてきた反省が出てくる。G20をきっかけに世界的に財政政策にシフトしていくと思います。


■ニュース特集
マイナス金利.JPG
外国人投資家 日本への3つの疑問
先週、NYとロンドンの投資家を訪問。外国人投資家は、日銀に対してというより「世界的なマイナス金利」の広がりに懸念を示している。また、日本市場の疑問点として「為替介入」「自社株買い」「ヘリコプターマネー」への質問が聞かれたといいます。これらの疑問から見える外国人投資家の今後の戦略とは。解説はJPモルガンチェース銀行の佐々木融氏。
ヘッジファンドの日本に対する見方は、期待というより批判に変わってきている。マイナス金利について、日本だけというより世界的なマイナス金利政策に対する批判だ。
マイナス金利導入後今までのところ、下落しているのユーロだけで、その他の通貨は上昇している。ユーロについてはどちらかというとユーロスイスの大幅下落とか、ギリシャの選挙とかの影響が大きい。株価もみんな落ちてしまっているということで、マイナス金利は結局効かないんじゃないかという見方が強くて、特に銀行株が大きく落ちている。金融の仲介機能を担う銀行への懲罰的な政策は、結局緩和政策にならないのではないか、という声が多かった。
《外国人投資家から受けた質問》実質実効レート.JPG
①為替介入
外国人投資家は徐々に円買い方向に傾いてきているので、逆に円売り介入でその流れを止められないかと危惧を持っている。
・23日、クリントン「日本は輸出を増やすため、円安に誘導している」
・24日、ルー財務長官「為替相場を押し下げて、景気浮揚を図らぬように」27日「G20の声明は為替に関する部分は非常に重要」
・ダイセルブルーム・ユーログループ議長「日本についても議論があった」
G20で欧米からの日本の為替政策についての牽制が強かった。もちろん短期的な大幅な変動であれば政策総動員の為替介入もありだが、そもそも介入がおっこなわれた場合にどういう動きになるかというと、過去の介入の実績を見ると、円が大幅に割高になっているとき、もしくはポジションが大幅に円買い方向に傾いているときなんですが、今、円は長期的、歴史的に実質実効レートでみると円安です。ポジションも大きく円高には傾いてはいませんので、仮に介入が行われたとしてもあまり効果はないと思う。介入のタイミングは、短期的なスピードが問題なので、例えばここ数か月の間に100円割れならば認められるし、一方で1年2年経って100円割れならそこでの介入は欧米には受け入れられない可能性はある。日本が介入できないと見れば、ヘッジファンドは円高方向に動くし、日本の投資家も円を買い戻すと動きになると思う。

②自社株買い
マイナス金利によって企業の預金に手数料が課せられるようになると、企業は自社株買いに動くのでは、という期待がある。2015年は手数料の問題ではなく、割安になったから自社株買いをしているわけで、手数料が課せられるという理由で自社株買いに走るという戦略には動かないと思う。下落したら自社株買いは出るだろう。

③ヘリコプターマネー・・・バーナンキ前FRB議長「金融危機の時はヘリコプターからお金をばらまけ」
金融政策に限界が見えてきた中で、政府は今度は財政政策に頼るという見方です。G20で日本としては財政を出しやすくなった。ただ日銀を財布代わりにして財政を出し過ぎると、悪いインフレにつながる可能性があるので注意が必要です。投資家としては、財政出動で長期的には円安になるという見方です。短期的には円高方向、株も期待が強い、長期金利は下がる方向です。

■NY便り主要国GDP.JPG

G20の成果を分析
年明けから世界のマーケットが動揺する中、先週末、G20=20の国と地域の財務相・中央銀行総裁会議が中国の上海で開かれました。今回のG20の成果について、コロンビア大学の伊藤隆敏教授に解説して頂きました。

①市場の変動・・・ファンダメンタルズ悪くない。攪乱要因は中国と原油。各国事情が違うので財政出動など協調は難しい。
②金融政策と財政・・・成長率を上げるため、需要を持ち上げる事はできるが、供給を増やすのは金融政策ではなく、構造改革(アベノミクス第3の矢)です。
③通貨安競争・・・人民元安を止めるために資本規制をして止める方策があるが、自由化が建前なのでアメリカもそれは言えない。今ある資本規制を厳格に適用するということになった。
アメリカ「中国は為替政策の改革を」
日本「元の安定化策を」
中国「中国は財政余力がある」





■ニュース

イラン選挙 穏健派が躍進
イランで26日に行われた国会選挙は28日までの開票作業の結果、ロウハニ大統領を支持する穏健・改革派の躍進が確実となりました。これにより厳格なイスラム体制を支持し、国会で過半数を占めていた保守強硬派は、大きく後退します。ロウハニ政権は、欧米など6ヵ国との核合意で経済制裁の解除を果たし、国民の強い支持を得たことになります。


シリア停戦 予断許さず
停戦が発効したシリアでは28日、大規模な軍事衝突はないものの、一部で空爆などの停戦違反が伝えられ、予断を許さない状況です。停戦は27日に発効しましたが、シリア全土で状況を監視する方法がなく、現地の人権団体によると停戦後にも複数の空爆があったということです。これについてサウジアラビアのジュベイル外相は28日、停戦違反をしているのはロシアとシリア政府軍だと批判しましたが、ロシア側は、「停戦はおおむね維持されている」と主張しています。


米専門家インタビュー 「雇用統計 堅調示すと予想」
月曜恒例、アメリカの専門家インタビューです。今週は、注目の2月の雇用統計が発表されます。アメリカの雇用が引き続き堅調であることを示す内容になると、専門家は見ています。
バンクオブアメリカ・メリルリンチ/エマニュエラ・エナネジャー氏
「2月の非農業部門効用者数は17万5千人増になるだろう。1月よりは改善するが、大雪の影響で増加数が抑えられる。平均時給の伸び率は前年比2.5%と先月と同じを予想する。しかしトレンドを見ると徐々に賃金が改善していることがわかる。セクターで見ると建設関連は良く製造業もドル高でも持ちこたえている。このことからアメリカの雇用の質は非常にいことが見て取れる。」
この他、今週は、2月のISM製造業景気指数が発表されます。先月よりやや低下するものの最悪期は過ぎたとエナネジャー氏は指摘します。
「3月製造業景気指数は48.0と先月の48.2よりやや低下するだろう。しかしここ2カ月の変動幅に収まっている。製造業は縮小しているが非常にゆったりしたペースで、これは製造業の落ち込みが抑制されていることを示している。」


「民主・維新」に期待…25%
テレビ東京と日本経済新聞の世論調査で夏の参議院選挙に向けて民主党と維新の党が合流して立ち上げる新党について「期待する」は25%、「期待しない」は64%でした。この世論調査は全国の20歳以上の人に対して無作為に電話をかけて行ったものです。安倍内閣を「支持する」と答えた人は前回調査から横ばいの47%でしたが、「支持しない」は5ポイント上昇の39%でした。アベノミクスを「評価する」と答えた人は、過去最低の31%になったほか、日銀が導入した「マイナス金利」については「評価しない」が53%で、「評価する」の23%を大きく上回りました。民主党と維新の党が来月中に結成する新党については、「期待する」が25%、「期待しない」は64%でした。また夏の参議院選挙で投票したい政党を聞いたところ自民党が33%で、民主党と維新の党による新党が13%でした。


台東区女性死亡…殺人で捜査
東京・台東区にあるマンションの一室で、この部屋に住む41歳の女性の遺体が発見された事件で、警視庁は女性の死因について首を絞められたことによる窒息死の疑いがあることを明らかにしました。警視庁によりますと、女性は首にタオルがかかった状態で見つかったということです。警視庁は、女性が何者かに首を絞められた疑いがあるとして殺人事件として、捜査を進めています。


総理「1億総活躍実現を」
政府が進める1億総活躍社会の実現に向けて、安倍総理大臣は国民から意見を聞く対話集会に出席しました。この中で安倍総理は「同一労働、同一賃金の導入にも本腰を入れて取り組む」と強調しました。政府は今後、福岡や大阪でも対話集会を開く予定です。


バフェット氏「米経済は力強い」
バフェット氏が株主に向けて「アメリカ経済は力強い」とのメッセージを送り、注目を集めています。バフェット氏は、自らの投資会社バークシャー・ハサウェイの株主に向け毎年メッセージを送っていて、この中で、大統領選挙の候補者たちが「悲観的な将来を強調しすぎている」と批判。今後もアメリカの力強い経済成長は続くと先行きを楽観しています。なお、バークシャー・ハサウェイが同時に発表した2015年の純利益は、1年前に比べ21%のプラスでした。


■日経超特急

①マツダは来年をめどにミニバンの開発・生産から撤退します。多人数が乗る車としてSUV(多目的スポーツ車)の人気が世界的に高まっており、ミニバンの経営資源を振り向けます。トヨタなど大手がほぼ全車種をそろえて拡大を続けるのに対して、中堅自動車メーカーでは車種を絞り、得意分野に集中する動きが広がってきました。
(三菱自動車)
大型SUV「パジェロ」の開発を凍結し、小型SUVやエコカーに集中
米生産を撤退し、フィリピンなどに新工場を建設
(富士重)
軽自動車生産から撤退
北米向けSUV増産
(スズキ)
米国販売から撤退
インドやインドネシアに新工場建設

②運用証券各社が取り扱う金融商品で「脱国債」を急ぎ始めました。日銀のマイナス金利政策を受けて、国債利回りは10年物でもマイナス圏に沈み、運用難が極度に強まっているためです。外債や社債など国債よりも利回りが高い債券を運用する動きが目立ちます。地方金融機関や個人マネーが流入しており、今後はリスク特性の違いなどをいかに丁寧に説明していくかが課題となりそうです。
《各社が注力する主な運用商品》
DIAM 為替ヘッジ付先進国国債、国内社債投信
日興アセット 米国地方債組み入れ私募ファンド
三井住友アセット 米国投資適格社債投信
野村アセット 先進国通貨建て日本企業社債投信
大和投信 米国REIT投信、高配当株投信 
三菱UFJ国際投信 国内REIT組み入れ投信
SBI証券 劣後債、REIT

③明日の会社説明会解禁で来年卒の就職活動が本格的に始まる中、ベンチャー企業の就活支援サービスが人気を集めていrます。人手不足を背景に売り手市場と言われるものの、自分に合った就職先を探すハードルは高くなっています。これまで就活支援は大手の人材支援サービスが中心でしたが、採用活動期間の短期化もあり企業も優秀な人材を早めに確保しようとベンチャーの新サービスの利用に積極的です。


■モーサテサーベイ
今週末の日経平均 予想中央値 16400(先週終値16188)
今週末のドル円予想 予想中央値 114.00(先週終値113.98)
次期アメリカ大統領予想 クリントン氏 74%
            トランプ氏  11%
トランプ氏優勢が続けば、リスク回避62% 反応なし32%
モーサテ景気先行指数 -1.3 調査開始以来初めてマイナス圏に陥り、景気悪化懸念が強まってきました。円高株安に加え、賃金の伸び鈍化やマイナス金利の副作用を指摘する声も上がりました。


■日刊モーサテジャーナル

①FT『G20が、Brextを世界経済へのリスクと認識している。』
WS『各国が確認したのは、中国が人民元の切り下げをしないという事。経済成長の低迷に苦しむ中国が大幅な人民元の切り下げを行うのでは、との懸念がかかる中、中国人民銀行の周総裁はその払拭に奔走した。』アメリカのルー財務長官は「中国との対話が必要だった」と発言したことなどを取り上げ、その成果を伝えています。ただ一方で「中国は元安の回避を保証したわけではなく、投資家は納得しないかもしれない。」と指摘しています。

②経営再建を進めるシャープについて
WSJ『もし契約が成立したとしても投資家にとって良い話か分からない。シャープは4890億円を獲得するが、投資先が超薄型画面などに使われる有機ELになる見通しであることを疑問視しています。有機ELは今後アップルもiPhoneに採用する観測があり人気が高まっているものの、同時に競争が激しい分野である。例えばサムスンは小型有機EL市場をほぼ独占していて、シャープの投資額も巨額になるだろう。』

③WP『アメリカでは絵文字の認知度が高まっていて、ソーシャルメディアには欠かせない言語として受け入れられていますが、警察や裁判所は深刻にとらえている。絵文字が使われたことで判断が難しいケースが増えている。』