1月28日のもう一つの一幕物バレエは三角帽子(Le Tricorne)でした。舞台はカルメン組曲と同じスペイン。ボリショイでは2005年4月15日初演の新しい振付での10回目。 冒頭メゾ・ソプラノ、エウゲニータ・セゲニュックの悩ましい歌声が花を添え、幕が上がるとフラメンコの姿で粉屋(粉引き 写真中央右)の長身で手足の長いビタリイ ビクチミロフが立っていて手拍子で踊りだすという趣向。主役の粉屋の女房(写真中央)をアンナ・アントロポバが情熱的に演じていて如何にもスペインという雰囲気が良く出ていました。コケにされる三角帽子で権力を示すコレギドール(地方の代官 写真左)をウラジミール・ジィドコフがコミカルに演じていました。スペインの情熱的な踊りと喜劇のおかしさが楽しめる舞台でした。
カーテンコールの動画です。
スペインの小説家アラルコンが、アンダルシアの民話から取材して書いた小説「三角帽子」をもとにしたものでスペインの作曲家マニュエル・デ・ファリャ(1876~1946)の喜劇。ファリャがロシア・バレエ団を率いるディアギレフから依頼されて作曲。初演1919年、ロンドンの アルハンブラ劇場でロシア・バレエ団によるもの。振付 レオニード・マシーン、舞台装置と衣装は何とパブロ・ピカソで今回のボリショイの上演も背景はピカソによる物。
あらすじ:
最初は伊達男が粉屋の女房に色目を使い 夫は町の美人に言い寄ったり。次に好色な代官が美しい粉屋の女房に目を付ける。女房は情熱的なファンダンゴを踊り、更に葡萄を口にくわえて取って御覧なさいと代官を挑発。代官が女房に抱きついたところで粉屋の夫が登場し代官を撃退。 夕暮れに村の住民が集まり粉屋の主人はその真ん中でファルッカを踊り喝采を浴びる。そこへ役人が逮捕状を持って現れ夫を無実の罪で連れて行ってしまう。一人残った妻は指を鳴らす悲しみの踊り。バックにソロの悲しい歌声。そこへに再度代官が女房に詰め寄るが、もみ合っているうちに川へは落ちるが更に女房に言い寄り女房は鉄砲で脅す。ここに夫が戻ってきたのを見た代官は慌てて、びしょぬれの服と代官の目印である「三角帽子」を脱いで寝室の布団にもぐり込む。脱ぎ捨てられた代官の服を見て、「女房に裏切られた!」と誤解した亭主はその服を着込み家の外に似顔絵を落書きしてから代官夫人の元へ復讐へ。慌てた代官は粉屋の亭主の服を着て後を追うが、役人は代官を粉屋の亭主だと思い袋叩き。粉屋夫婦は戻ってきて村人と代官人形を放り投げて幕。
ところでこの三角帽子はオケの演奏が頻繁に行われる作品で関西シティフィルハーモニー交響楽団のHPにこの三角帽子の筋を面白おかしく仕立てたお話が載っていましたので是非そちらもご覧の程。