ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『シンデレラ』 11月27日(土)

2010年12月03日 | Weblog


Nさんから寄稿とコメント頂きました。

コメント:。
ボリショイ・マリインスキーガラの記事、楽しく拝読いたしました。
ロパートキナとテリョーシキナが並んでいたりと、豪華ですね!
貴重なお写真、動画の数々もありがとうございます。

さて、例年よりもやや早めの新国立年末公演に行って参りました。
初日と2日目のレポートです。
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新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
11月27日(土)
シンデレラ:さいとう美帆
王子:マイレン・トレウバエフ
義理の姉達:保坂アントン慶 高木裕次
仙女:川村真樹  父親:石井四郎
ダンス教師:グリゴリー・バリノフ
仕立て屋:澤田展生 洋服屋:湯川麻美子 丸尾孝子
靴屋:高橋一輝 床屋:清水裕三郎 宝石屋:小口邦明
御者:宝満直也
春の精:西山裕子 夏の精:西川貴子
秋の精:高橋有里 冬の精:厚木三杏
道化:八幡顕光
王子の友人:芳賀望 江本拓 菅野英男 古川和則
ナポレオン:吉本泰久 ウェリントン:市川透

前回2008年公演では初日に主役のゲストが怪我で途中降板、
最終日は馬車が横転と事故が相次いだ演目だったが、
今年は順調な滑り出しを見せた。
 
さいとうさんはシンデレラ役がすっかり板に付き、
健気で可愛らしい中にもファーストキャストに相応しい貫禄が感じられた。
ステップ一つ一つが音楽にぴったりと合い、尚且つ丁寧にこなしていて
眠っていても踊れるのではと思うほど終始余裕の表情だった。
 
トレウバエフさんは情熱的でとても頼もしい王子で、
シンデレラを終始あたたかく見守っていた。
 
この2人といえば、前回主役の途中降板後、
代役を務めたペアである。
衝撃が走っていた会場を瞬く間に夢の世界に誘ってくれたことは
鮮明に記憶しているが、
今回もまた高揚感たっぷりの幸福なパ・ド・ドゥを見せてくれた。
 
仙女の川村さんは、美しさと優しさに満ちた妖精であった。
登場した瞬間に煌くような輝きを放ち、
ふんわりと優しい空気で包み込んでいた。
川村さんの一番の当たり役ではないかと思う。
 
ベテラン揃いの四季の精達も盤石で素晴らしかった。
西山さんの春の精は弾けるような踊りで、
速いテンポでも音楽に遅れることなく
アシュトン特有の捻りのある振付をこなしていた。
西川さんの夏の精は、全身を大きく使った力強い踊りで、
灼熱の気だるさが伝わってきた。
高橋さんの秋の精からは激しい秋風が感じられ、
紅葉が舞い、冬が接近していることが感じ取れた。
厚木さんの冬の精は雪の女王らしい威厳があり、
辺り一面に銀世界が広がったようであった。
 
義理の姉達は、出しゃばり過ぎず適度にはしゃいでいて、
丁度良い目立ち加減であった。
 
義理の姉達が舞踏会へ行く支度をする場面に登場する
靴屋や宝石屋の人々もまた良い味を出していた。
はちゃめちゃなダンスレッスンの最中はお互いの顔を見ながら困惑したり、
シンデレラが上手にこなしたときには
感激した様子を見せたりと、細やかな芝居で場を盛り立てていた。
特に、宝石屋の小口さんが
8:2分けにした髪の乱れを音楽に合わせてさり気なく直している姿には
思わず笑ってしまった。
 
星の精達のコール・ドも綺麗に揃っていて、夢見心地にさせてくれた。
心配だった馬車は、今年はかなりの減速運転で、観ていて安心できる。
このまま最終日まで安全第一の運転を望みたい。
 
最後、妖精達に見守られながらのシンデレラと王子の結婚式の場面は
じんと心温まり、幸せな気持ちになった。
明日以降も様々なキャストが組まれているので
期待していきたい。
最終日、本日の王子から一転するトレウバエフさんの義理の姉も楽しみである。
椿姫のボリショイ劇場公演において、
女装メヌエットで本場モスクワの観客を笑わせただけあり、大いに期待したい



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